塩谷の海岸

小樽駅前から余市方向にバスで30分くらい行ったところにある塩谷の海岸です。撮影は、2004年10月です。塩谷を訪問したのは、詩人で、「『ブルームズデイ100』をのぞいてきました」でご紹介した『ユリシーズ』を翻訳した、伊藤整(いとうせい)が1歳だった1906年から1928年に上京するまでここに住んでいたからです。残念ながら、住んでいた家は残っていないそうですが、国道沿いの丘に立派な文学碑が立っていました。


碑文「海の捨児」が、「伊藤整文学碑」というサイトに載っていましたので、ご紹介させていただきます。

私は浪の音を守唄にして眠る/騒がしく絶間なく/繰り返して語る灰色の年老いた浪/私は涙も涸れた凄愴なその物語りを/つぎつぎに聞かされていて眠ってしまふ/私は白く崩れる浪の穂を越えて/漂っている捨児だ/私の眺める空には/赤い夕映雲が流れてゆき/そのあとへ星くづが一面に撒きちらされる/ああこの美しい空の下で/海は私を揺り上げ揺り下げて/休むときもない

町中でお会いした方にお聞きしたところ、バスが国道5号線から塩谷海岸に曲がる角にある、「伊藤商店」はご親戚の方が経営されているそうです。


(2005年8月28日)

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