オーストラリアの「青い山脈」

シドニー郊外の「ブルー・マウンテンズ(「青い山脈」とも訳せます)国立公園」で2010年6月に写した写真です。ここに見える森を構成する樹木の大半はユーカリですが、ユーカリから立ち昇る油分のために、森が青く見えることからブルー・マウンテンズと呼ばれており、2000年12月に世界遺産にも登録されました。

がけの上の右手の建物が、「シニック・ワールド」という施設で、ここから撮影地点の右手のがけの上まで谷をまたいで水平方向のロープウエイ(シニック・スカイウェイ)と、谷の下まで降りられる(シニック・ケーブルウェイ)という2本のロープウェイと、最大斜度が52度という、エレベーターに近いケーブルカー(シニック・レールウェイ)が出ています。写真中央に、谷に降りていくシニック・ケーブルウェイが写っています。ごく小さく見えるこのロープウェイは84人乗りのかなり大きなものであることから、この谷がいかに大きいかが分かると思います。

下の写真は、シニック・レールウェイの乗り場に備えられていたえさ台で、インコがえさをついばんでいるところです(かみさんが写した写真です)。左側にシニック・スカイウェイが写っています。正面の森は、ユーカリのようです。上で書いたように、この森に生えている木の大半はユーカリとされていますが、幹の白いものが多いようでした。ただ、100種類以上のユーカリが自生しているとのことで、種類が多すぎて、実際には、どれがユーカリで、どれがほかの種類の木なのか分かりませんでした。

シニック・レールウェイで降りた谷底から見た、断崖ですが、中央に見える3本の岩の柱は「スリー・シスターズ」と呼ばれているそうです。アポリジニの伝説によると、美しい三姉妹を魔王から守るために、父親が魔法のつえで岩に変えたものの、父親が魔法のつえを落としてしまったために、人間の姿に戻れなくなったのが「スリー・シスターズ」だそうです。

谷底には遊歩道/登山道がよく整備されていて、森林の中を歩くことができます。時間が許せば、渓谷のいろいろな場所に歩いていくことができるようです。下の写真は、谷底からシニック・ワールドに戻るシニック・ケーブルウェイから見た森林ですが、ユーカリと同じくらいの大きさの巨大なしゅろが見えました(この写真もかみさんが写したものです)。写真の上の隅に遊歩道と観光客が写っています。

この地域が世界遺産に指定された理由の一つは、汚染防止の試みが評価されたことがあるそうです。台地の上にはカトゥンバ(Katoomba)という町があり、恐らくその町の汚水の影響があるらしく、汚染防止の試みが行われているそうです。そのため訪問者は、川の水やわき水は飲まないようにとの注意書きがありました。

台地の上のカトゥンバまでは、シドニーから65kmの距離です。シドニー在住のお知り合いの方もおっしゃっていましたが、オーストラリアの列車は日本の列車と違ってゆっくり走っているようで、列車では片道2時間かかります。『タビトモ・シドニー』(JTBパブリッシング刊)という旅行案内書には、この地域のことをかなり詳しく紹介してあり、朝8時にシドニーを出発してこの地域を回る行程表までのっていましたが、残念ながら、肝心の列車の所用時間が1時間となっているというとんでもない間違いがありました。途中に見るべきところもたくさんあるようですので、日帰りなら車の方が便利かも知れません(日本、イギリス同様、車は左側通行ですので、それほど違和感はありません)。

わたしが訪問したのは6月でしたが、6月はシドニーでは冬で、気温は4―8度程度ですが、ブルー・マウンテンズは標高1000m程度の高さにあるため、シドニー市内よりかなり寒く、氷点下に下がることも珍しくなく、わたしが訪問したときも、道路の水たまりは凍っていました。日本の夏に訪問される場合には、厚手のコートなどを持参するのを忘れないようにする必要があるようです(2010年9月22日)。

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