問題 14(医療)の答え・・・せいぜい(a.1人)いるかいないかが正解です。

大原健四郎浜松医科大学名誉教授は、「職員室の心の病」(講談社)のなかで、精神科医10人のなかで、まともな精神療法を本格的に施行する技術を持っている医師は、1人いるかいないかであると指摘しています(44ページ)。さらに、「精神療法のできない精神科医は、もっぱら薬を投与する・・・。しかし、薬で完治することは少なく、薬がなくなると、また不安、焦燥(しょうそう:いらだち、あせること)が生じ、薬に依存する傾向が出てくるので注意すべきである」と述べています。

問題8の答えで指摘したように、入院患者全体に占める入院期間が5年を越す患者の割合はイギリスではわずか2%であるのに対して、日本では実に50%を上回っています。大原名誉教授が指摘されているように、まともな治療ができる医師が非常に少ないとすれば、患者の入院期間が長くなるのも当然といえましょう。

話は本題からそれますが、「職員室の心の病」には、とても子供をまかせる気にはならない先生の例が多数載っています。また、先生が精神病にかかるケースが増えており、先生の心の病を通して、教育現場がいかに殺伐としているかが分かります。

「通常、会社員で具合の悪い人が出ると、上司や同僚が付き添って来院したり、あらかじめ事情を説明しにやってきたり、社会復帰はどうあるべきかと相談にやってきたりする」そうです(同書21ページ)。ところが、先生の場合には、精神病になっても、学校では親身になって協力してくれる人があまりいないため、一人で来院したり、妻が同伴する場合が多く、職場の上司や同僚が付き添ってくるケースはあまりないそうです(同書22―23ページ)。

子供がいじめられていても、無視するような先生が多いのは、このような殺伐とした職場環境のなかで、先生が孤立化しているため、教師としてというよりも、人間として最も重要なことを忘れてしまった先生が増えているためなのかもしれません(98年3月3日)。

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