秘密保護法が成立すると反原発運動参加者はテロリストとみなされることになる---国民に対する脅しが目的

2013年10月26日に秘密保護法(正式には「特定秘密保護法案」)が国会に提出されましたが、警察の裏金問題追及で有名な清水勉(しみず・つとむ)弁護士と、ビデオニュース・ドットコム( www.videonews.com )代表の神保哲生(じんぼ・てつお)氏の対談(10月24日付、https://www.youtube.com/watch?v=DG_VlOZd2kg&feature=c4-overview&list=UU5oLRA4CAPwZdZ-o0yLF-Tg )
によると、秘密保護法は「冗談のような法律」で、これが成立すれば、官僚が「日本の安全保障に著しい支障を与えるおそれがある情報」と判断すれば、なんでも「特定秘密」にでき、公務員がこれを漏洩すれば、最長懲役10年の刑に、一般人が漏洩をそそのかした場合は最長5年の刑になるそうです。

清水氏は、原発の情報が特定秘密と判断されるのは、「確定的」であるとのことです。これは、法律上「特定秘密」の対象とされている「テロリズム」の定義が「一定の考え方、主義主張に基づいて、自分たちの考え方を国や国民に強要する・・・活動」(12条第三項の2)となっており、反原発運動は、一定の主義主張を国や国民に強要する活動であり、これはテロリズムの定義に当てはまるそうです(26分頃以降)。

「民主主義社会というのは、いままでみんなが認めていたものに異議をとなえていって新しくしていくという社会で、そこには「異議申し立て」という自分の主張を受け入れろという強要活動があり、この法律では、それをテロリズムと定義している」そうです。そのため、この法律は民主主義の根本を否定していることになります。

また、一般市民が反原発運動をしていると、突然逮捕・検挙され、資料を差し押さえられ、私生活などを全部暴かれることになる可能性があり、活動が難しくなる(言論の抑制効果、つまり「萎縮効果」、chilling effect)点が大きな問題であり、そういう政治的な利用のされ方は確実に起こるというご意見です。その意味で、この法律は、国民に対する脅しを目的としているようです(37分頃以降)。

1971年の沖縄返還協定での違法な密約(公式発表では米国が支払うことになっていた地権者に対する土地原状回復費400万ドルを、実際には日本政府が肩代わりして米国に支払うという密約をしていたことが、2008年に公開された米国の公式文書で明らかになった。)の内容を1972年に報道して有罪判決を受けた元毎日新聞記者の西山太吉(にしやま・たきち)氏は『朝日新聞』(2013年10月26日付朝刊)で次のように述べています。

「本当の秘密とは、外交交渉の結果のことを言います。だが結果は正確に完全に国民に知らされなくちゃならない。外交交渉の結果にうそをつけば、政治犯罪になるのです。その意味で、沖縄密約は最高の政治犯罪と言えます。東京地裁も東京高裁も認定したにもかかわらず、自民党政権はいまだに「密約はなかった」と言っている。国会でうそをつき続けている現政権に、法案を出す資格はないのです」。(2013年10月27日)。

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