日本の精神医療制度改革の効果的な方法を教えてくださった5人の方に『精神病院はいらない!イタリア・バザーリア改革を達成させた愛弟子3人の証言』(大熊一夫編、DVD付き、2,800円)をプレゼントします

問題98(医療)でご紹介しましたように、イタリアでは精神病院は1999年に廃止され、精神病患者は基本的に社会の中で治療することになりました。また、WHO(世界保健機構、国連の専門機関の1つ)もイタリアのやり方を認めて、「WHOメンタルへルス調査研修コラボレイティングセンター」をイタリアのトリエステに開設して、イタリアのやり方を世界の標準にするための支援を行っています。

精神病院の閉鎖病棟に収容されると、患者は自由を奪われるだけでなく、一般的な人間関係も失われるため、人間的な生活ができなくなり、回復のために不可欠である正常な対人関係の習得も困難となり、入院期間も長くなる傾向があります。

しかし、日本ではまだ35万人近くの方が閉鎖病棟に閉じ込められていて、世界の精神科病床総数の5分の1が日本にあるという異常な状態が続いています。これは、「患者の収容」がビジネスになっているためで、「日本では1床から年間400万円から500万円の収入があり、300床の私立精神病院ならオーナー一族の懐に年間約2億円が入ると言われている(「バザーリア講演録、自由こそ治療だ!」 256ページ)」ためのようです。

日本で精神病院の廃止が進まないのは、こうした利権を手放したくない医師会の反対と、医師会を支持母体としている自民党が医師会に同調して、厚生労働省も医師会・自民党の意を受けて、この制度を必死に維持しようとしているためです。

さらに、リベラルとみられている香山リカ先生(立教大学現代心理学部教授も兼任されています)でさえ、下記の3つの理由を挙げて文化・制度の違いのために日本ではイタリアの制度の導入はかなり難しいというご意見でした。
(1) 日本の精神病院への入院患者が多く、入院治療期間が長い1つの理由は「私宅監置」「座敷牢」からの開放が戦後の精神医療体制整備の1つの目的となっていたため。
(2) 精神病が直ったと考える状態が国によって違う。イタリアでは何をしているのか分からない人がいてもあまり問題にならないかもしれないが、日本では、直ったのなら働かなければならないと考えられる傾向があるため。
(3) イタリアでは精神病院を閉鎖して、地域精神医療サービス網がその機能を肩代わりしているが、これが可能となるためには、地域住民の理解が必要で、北海道の浦河町の「ベテルの家」による取り組みのように成功しているケースもあるが、それは小さい町なので理解が得られやすかったという面があり、大都市を含めて全国的にこの体制を整備するのは容易なことではないと思う。

イタリアでの精神医療改革は、革命的変化で、この改革の背景にはイタリア国民の支持がありました。これに対して、日本では精神病に対する一般の理解が、患者による犯罪抑制ばかりに目が向けられ、患者が人間らしい適切な治療によって、一日も早く回復するための医療制度の整備がないがしろにされている状態にあります。

そこで、イタリアの改革を知っていただくために、この改革を詳しく紹介している『精神病院はいらない!イタリア・バザーリア改革を達成させた愛弟子3人の証言』(大熊一夫編、DVD付き、2,800円)を5人の方に差し上げることにしました。この本には、イタリアの精神医療改革を実現させた偉大な精神科医、フランコ・バザーリアが改革を実現するまでの足跡が描かれているイタリア国営放送制作の「むかしMattoの町があった」という映画のDVDも付録として付いています。この映画は特に精神病で苦しまれている方にぜひ見て頂きたいと思いますので、患者さんに優先的にお送りしたいと思っています。

本を差し上げる条件として、問題98(医療)でご紹介したイタリアの医療改革を日本でも実現させるための方法を教えていただきたいと思います。いい方法を教えていただいた場合には、投稿者のお許しを得てからホームページでご紹介させていただきます。

いい方法を思い付かれた方は下記の項目を盛り込んだ電子メールをこちらまでお送りください。その際、タイトルには「クイズひまつぶし」と記入していただくようお願いいたします。

1. お名前、
2. ご年齢、
3. 性別
4. 電子メールアドレス、
5. ご自分と精神医療との関わり、
6. イタリアの精神医療改革を日本でも実現させるための方法

ご応募をお待ちしております。締め切りは6月末とし、その時点で集まった提言のうち最も効果的と考えられる方法を教えて頂いた方5人の方に書籍をプレゼントさせていただきます。その際、患者さんのご意見を優先的に扱わせていただきます(2019年3月30日)。

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