「KJテレビ」・・・日韓関係についての正確な情報を提供

「KJテレビ」は「一般社団法人KJプロジェクト」が開催している日韓関係に関する専門家による講演会、「日韓記者・市民セミナー」の内容を録画して、誰でも見られるようにしたYou Tubeのチャンネルです。KJは韓国(Korea)、日本(Japan)の略称です。

菅義偉首相、安倍晋三前首相、その後ろ盾ともいえる「日本会議」の影響が大きいために、日本のマスコミは日韓関係について、日本側の一方的な見方ばかりを伝えているような印象を受けます。在日韓国人に対する「ヘイトスピーチ」の横行は、こうした偏向報道が背景となっているのは間違いありません。実際、「国境なき記者団」による報道の自由度ランキングでも日本は世界180カ国中67位と途上国並みとなっています。ちなみに、韓国の順位は42位と米国の44位を上回り、先進国と肩を並べています(2021年)。日本のランキングは21年に前年より1つ下がりましたが、国境なき記者団によると、これは「菅義偉氏は、安倍晋三氏のかつての右腕で、20年9月に首相を引き継いだが、報道の自由をめぐる環境を改善するために何もしてこなかった」ためだそうです。

日本会議をはじめとする右翼勢力が流す一方的な情報の誤りを指摘して、韓国側の見解も伝えることを目的として、裵哲恩(ペー・チョルン)さんが2019年9月に創設されたのが、「一般社団法人KJプロジェクト」です。裵哲恩さんは、在日韓国人の法的地位確立と民生安定、文化向上、国際親善と韓国の発展、北朝鮮との平和統一の実現を目指して活動している「在日本大韓民国民団(略称は「民団」)」で宣伝局長、民団の機関紙である「民団新聞」の編集長を歴任されましたが、定年退職後にこのプロジェクトを立ち上げられました。裵哲恩さんのこれまでの活動は 20.12/5「多文化共生社会実現へ」(民団湘中支部での講演) に紹介されています。

『関東大震災、朝鮮人虐殺の真実』と『関東大震災、朝鮮人虐殺はなかった』はトンデモ・トリック本

「日韓記者・市民セミナー」のセミナーを下に載せましたが、それぞれの項目をクリックすると対応するKJテレビの動画にジャンプします。それぞれの講演は各分野で活躍されている著名な専門家が講師を務められていて、新聞、テレビなどでは報道されていない真実を知ることができます。

例えば、第1回の加藤直樹氏による「関東大震災『朝鮮人虐殺否定』論」反証というセミナーでは、『TRICK トリック「朝鮮人虐殺」をなかったことにしたい人たち』(2019年、ころから株式会社)という加藤氏のご著書に基づいて、工藤美代子氏の『関東大震災、朝鮮人虐殺の真実』(産経新聞出版)とほぼ同じ内容の工藤氏の夫、加藤康夫氏の『関東大震災、朝鮮人虐殺はなかった』とい2冊の本がいかに、意図的にねつ造された情報に基づいているかを徹底的に究明しています。

つまりこの2冊では、(1)「朝鮮人が井戸に毒を入れた」とか「朝鮮人が放火している」ということの根拠をもっぱら震災直後(9月1日から7日まで)の虚報、誤報記事に載っていたことを検証もせずに伝えているそうです。

(2)その後朝鮮人暴動なるものはなかったことが明らかになりましたが、その点についてご夫婦の父上である故池田恒男氏(ベースボールマガジン社創業者)が、故正力松太郎氏(元読売新聞社長)から、正力氏自身が当時の内務大臣であった後藤新平氏から聞いたとされている次のような話を根拠にしています。「正力くん、朝鮮人暴動があったことは事実だし、自分は知らないわけではない。だがな、このまま自警団に任せて力で押し潰せば、彼らとてそのまま引き下がらないだろう。必ず報復がくる。報復の矢先が、万が一にも御上(天皇)に向けられるようなことがあったら、腹を切ったくらいではすまされない。だからここは、自警団には気の毒だが、引いてもらう。ねぎらいはするつもりだがね」。このコメントの一番怪しげなのは、お二人の亡くなられた父上が話したとされた内容なので、確認のしようがないと言う点で、内容と表現が小説的なのも、いかにもでっち上げたという感じです。また、加藤氏は次のように指摘しています。「後藤新平が朝鮮人暴動を隠蔽しようとしたとか、あるいはそう思わせるようなことをしたとかは全くないわけで、どこからこんなセリフが出てきたんだと思います」。

(3)工藤夫妻は虐殺犠牲者数も、めちゃくちゃな計算で過小評価しています。東京都墨田区の関東大震災朝鮮人犠牲者追悼碑には、虐殺の犠牲者は約6,000人であったとされていて、吉野作造(1878 ~1933、大正時代を中心に活躍した日本の政治学者、思想家。東京帝国大学教授、東京朝日新聞論説委員を歴任。大正デモクラシーの立役者だった。)が朝鮮罹災同胞慰問班から聴いた朝鮮人の被害(注1)によれば、犠牲者は2,613人とされていますが、工藤夫妻は、朝鮮人は被害の大きかった下町に住んでいた人が多く、しかも粗末な家に住んでいたため、地震そのものによる死亡率は20%と一般の日本人の死亡率である1%の20倍であるという仮説に基づいて計算した、地震そのものによる犠牲者数を引くと、虐殺による死者は1,000人程度と推定されるとしています。まさに荒唐無稽の推論と言えます。

トンデモ・トリック本の影響を最も大きく受けたのが小池百合子東京都知事

しかしこのトンデモ・トリック本(2009年と2013年に発行された)の影響はすさまじく、日本会議では憲法を改正して緊急事態条項の必要性の根拠としてこの本を挙げています。自民党の文部科学部会の部会長であった赤池誠章参議院議員は「日本人が根拠のない流言によって多数の無辜の朝鮮人を虐殺したなどとは信じられない、そう思っていたら工藤美代子さんの素晴らしい本に出会った」と書いているそうです。さらに2017年には内閣府・中央防災会議の関東大震災についての報告のうち、朝鮮人虐殺の部分が隠されるという事件が起きました。横浜市の中学校の副読本からは、2016年に「虐殺」という記述そのものが消されてしまいました。さらに、トンデモ・トリック本の影響を最も大きく受けたのが、小池百合子東京都知事で、この本に基づいた自民党の古賀俊昭都議の質問を契機として、人種差別的発言を繰り返している石原慎太郎元都知事でさえ継続していた、朝鮮人追悼式典への追悼文の提出を2017年に取りやめ、2021年9月1日の式典でも5年連続で提出を拒否しました。

日韓友好のためには、正確な情報を両国民が共有することが出発点になると思いますが、その際に日本側の極端な歴史の歪曲、修正主義、つまり日本人の残虐行為をなかったことにしようとする動きが最大の障害になっていると私は思います。多くの方々にとって、日韓関係について正確な情報を得るためにKJテレビを参考にしていただくことが非常に有益だと思います。また、最新の番組をご覧いただけるようにチャンネルに登録されることをお勧めします。さらに、下の一覧で●が付いている番組は内容が文書化されたブックレットが発行されていますので、必要な方はKJプロジェクトにご注文ください(email: cheoleunbae@yahoo.co.jp )。

KJテレビへのリンク

●第1回 19.8/3「関東大震災『朝鮮人虐殺否定』」論反証/加藤直樹(作家)

〇第2回 19.9/25「よく知らない韓国(人)を知ろう」/権鎔大(経営コンサルタント)

●第3回 19.10/18「特攻隊員として死んだ朝鮮人の慰霊事業」/黒田福美(女優)

〇第4回 19.10/26「JOCの不可解な動き」/谷口源太郎(スポーツジャーナリスト)

●第5回 19.11/24「北送事業60年の総括」/菊池嘉晃(ジャーナリスト)

●第6回 19.12/12「韓国ヘイトと対処法」/香山リカ(精神科医)

〇第7回 19.12/17「在日2世の数奇な半生」/尹信雄(元民団倉敷支部団長)

●第8回 20.2/10「安倍政権の内政と外交」/小池 晃(日本共産党書記局長)

●第9回 20.2/21「南北韓と韓日関係の展望」/平井久志(ジャーナリスト)

〇第10回 20.7/1「虚構の『嫌韓』からの開放」/澤田克己(毎日新聞論説委員)

●第11回 20.7/15「川崎でのヘイトスピーチ攻防」/石橋 学(神奈川新聞記者)

〇第12回 20.8/5「在米コリアンと日系米人社会」/金真須美(作家・大学講師)

〇第13回 20.8/26「多様性の中の在日コリアン」/金村詩恩(作家・ブロガー)

●第14回 20.9/2「朝日新聞の慰安婦報道と裁判」/北野隆一(朝日新聞編集委員)

●第15回 20.9/16「平行線をたどる徴用工問題」/殷勇基(弁護士)

〇第16回 20.10/16「『評伝 孫基禎』上梓とその後」/寺島善一(明治大学名誉教授)

〇第17回 20.10/30「復刻版『関東大震災』出版の意義」/高ニ三(出版社代表)

〇第18回 20.11/18「キムチが食べられる老人ホーム・故郷の家」/尹 基(理事長)

●第19回 20.11/30「日本学術会議任命拒否問題の背景」/纐纈 厚(明治大学特任教授)

●第20回 20.12/8「差別と偏見の現場取材」/安田浩一(ノンフィクションライター)

〇第21回 21.4/27『韓国ドラマ食堂』の話」/八田靖史(コリアンフードコラムニスト)

〇第22回 21.7/14「差別実態調査から見るヘイト」/権清志(朝鮮奨学会代表理事)

※番外編 20.12/5「多文化共生社会実現へ」(民団湘中支部での講演)/裵哲恩

※●太字下線網掛けはブックレット発行済

注1.吉野作造が朝鮮罹災同胞慰問班から聴いた朝鮮人の被害、大正十二年十月末日までの被害状況wikipediaの関東大震災朝鮮人虐殺事件の項から)

吉野作造が朝鮮罹災同胞慰問班から聴いた朝鮮人の被害、大正十二年十月末日までの被害状況 
一、横浜方向      
1.神奈川県橋本町浅野造船所前広場 虐殺(現金五百円強奪) 四十八
2.神奈川警察署内 巡査刺殺
3.程ヶ谷町 虐殺 三十一
4.井戸ヶ谷町 右同(現金二百円強奪) 三十 余名
5.根岸町 右同 三十五
6.土方橋より八幡橋まで至る 右同 百三
7.中村町 右同
8.山手町埋地 右同
9.御殿町付近 右同 四十 余名
10.山手本町警察署立野交番所前  右同
11.若屋別荘附近 右同 余名
12.新子安町 右同
13.子安町より神奈川駅に至る   右同 百五十九
14.神奈川鉄橋 右同 五百 余名
15.東海道線茅ヶ崎駅前 右同
16.久良岐郡金沢村  右同 十二
17.鶴見町 右同
18.川崎 右同
19.久保町 右同 三十 余名
20.戸部 右同 三十
21.浅間町及浅間山 右同 四十
22.戸山、鴨山 右同 三十
以上屍体埋葬地及数 1.久保山火葬場 千余名(横浜附近被害者)  2.青木町三ツ沢共同墓地 二百名(神奈川附近被殺)  3.金沢村(不詳)  4.茅ヶ崎町旧東海道線路火葬  5.鶴見町、総持寺山内埋葬  6.川崎町当地埋葬又は持って帰国
二、埼玉県方面      
1.川口 虐殺 三十三
2.赤羽荒川 右同 三百
3.大宮 右同 二名
4.熊谷 右同 六十一
5.本庄 右同 八十六[注釈 3]
6.早稲田村 右同 十七
7.神保原 右同 二十四
8.寄居 右同 十四
9.長沢 右同 十四
三、群馬県      
1.藤岡 虐殺 一八
四、千葉県      
1.習志野軍営倉内 虐殺 十二
2.船橋 右同 三十八
3.法典村 右同 六十四
4.千葉市 右同
5.流山 右同
6.南行徳 右同
7.馬橋 右同
8.田中村 右同
9.佐原 右同
10.滑川 右同
11.成田 右同
12.我孫子 右同
五、長野県      
1.軽井沢周辺 虐殺
六、茨城県      
1.筑波本町 虐殺 四十三
2.土浦 右同
七、栃木県      
1.宇都宮 虐殺
2.恵那須郡 右同
八、東京付近      
1.月島 虐殺 三十三
2.亀戸署内 右同 八十七
3.小松町 右同 四十六
4.寺島請地 右同 二十二
5.寺島警察署内 右同 十三
6.向島 右同 三十五
7.寺島手井駅 右同
8.洲崎飛行場附近 右同 二十六
9.日本橋 右同
10.深川西町 右同 十一
11.押上 右同 五十
12.本所区一丁目 右同
13.大島七丁目 右同
14. 大島三丁目活動写真館内 右同 二十六
15.大島八丁目 右同 百五十
16.小松川新町 右同
17.浅草公園内 右同
18.亀戸駅前 右同
19.府中 右同
20.世田ヶ谷、三軒茶屋 右同
21.新宿駅内 右同
22.四谷見附 右同
23.吾妻橋 右同 八十
24.上野公園内 右同 十二
25.千住 右同 十一
26.王子 右同 八十一
右 合計  二千六百十三人 〔東大吉野文庫〕

(2021年9月5日)


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