夜明けの然別(しかりべつ)湖


98年8月に、大雪山国立公園内では唯一の自然湖である然別湖で夜明け前に撮ったものです。窓を開けて寝たところ、8月初めにもかかわらず、夜明け前の最低気温が9度まで下がり、くしゃみが止まらなくなって、起きてしまいました。正面の山は天望山で、湖面に写った姿が唇(くちびる)に似ているため、唇山ともいうそうです。東山魁夷画伯も、湖面に唇山が写った景色を描写した日本画を描かれていますが、画伯はこの湖のさざなみは日本で一番美しいとおっしゃったそうです。ホテルの前の湖畔までカメラと三脚を運んで、絞りは開放で20秒くらいの露出で撮りました。ついでに、車で15キロくらい離れた、糠平湖まで行ってみたのですが、糠平湖に降りていく坂の頂上付近で3頭の鹿に出会いました(下の写真参照)。車道から10メートルくらいのところにいたので、まず車を止め、ゆっくりトランクまで歩いて、カメラを取り出して写真を撮るまで逃げませんでした。かなり人に慣れているのかもしれません。


今年札幌に帰省して一番驚いたのは、「モエレ沼公園」という巨大公園の出現です。この公園のグランドデザインは、故イサム・ノグチ氏によるとのことですが、広さはなんと180ヘクタール(縦、横それぞれ1.5キロ程度で、形はアルファベットのAに似ています)で、中心となっているのはなんと山です。二つ作られる予定の山の内、高さ30メートル(縦500メートル、横250メートル)の方しかまだできていませんが、近くに高いものがないため、頂上からは、恵庭岳、樽前山など40キロ以上離れている山がはっきりと見えました(下の写真がその山ですが、ピラミッドみたいになった部分の底辺は約200メートルです。頂上にいる人の大きさからこの山の巨大さが分かると思います)。もう一つの山の高さは最終的に50メートルにする予定ですが、現在造成中で、ダンプカーが盛んに土を運んできていました。何か、漢文の授業で同じような話が出てきたような気がします。関係者の話では、高さが50メートルになると、国土地理院の地図にも山として載るため、この高さにしたそうです。ひさびさに聞くスケールの大きな話でしたが、もっと必要性の高いお金の使い道がほかにあるような気がします。


(98年8月25日)

2019年9月7日追記:「モエレ沼公園」は2005年7月1日に完成しましたが、完成イベントなどについては、「標高62mの人工の山」をご覧ください。

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