ニュージーランドの女子高生
ニュージーランドの南島にある、同国で人口が2番目に多いクライストチャーチ市の北ハグレー公園で2018年9月上旬に写した写真です。南半球では季節が逆転しているため、桜が満開でした。左端の女子高生はこの先のChristchurch
Girls High Schoolという女子高校の生徒さんのようです。同じ服装の生徒がもう一人歩いてきました(小さく写っています)のでこの生徒さんが着ているのは制服のようです。制服のスカートの丈は日本ではありえない長さですね。ニュージーランドは男女同権なので、日本の女子高のように、ミニスカートで男に媚を売るための教育をする必要はないためなんでしようね。
のどかな美しい公園でしたが、2019年に発生した現代ニュージーランド史最悪の犯罪事件であった「モスク銃乱射事件」の現場がこの公園に隣接していました。この事件では、28歳でオーストラリア国籍のブレントン・タラントがこの公園に隣接するアルノール・モスクを2019年3月15日の13時40分に最初に襲撃して51人を殺害して、49人を負傷させたあと、約5km離れたリンウッドのモスクでも7人を射殺しました。犯人はその後逮捕され、死刑が廃止されたニュージーランドでは最も重い刑となる、「仮釈放なしの終身刑」となりました。在米ジャーナリストの飯塚真紀子氏によれば、犯人はトランプ前大統領のことを「白人復活のシンボル」と考える、極右の白人至上主義者のようです。
wikipediaによれば、ニュージーランド首相ジャシンダ・アーダーン(1980年生まれで現在40歳の女性)は直ちに銃規制法を改正することを約束し、同年3月21日、半自動小銃とアサルトライフル(全自動射撃能力を持つ自動小銃)の販売を即刻禁止し、バンプストック(1発ずつしか発射できない半自動小銃に装着し、フルオートで連射できるようにする装置)および大容量弾倉も禁止し、市場にすでに出回っているこれらの武器を政府が買い上げ、禁止法施行後は所有も禁じると発表したそうです。事件後わずか6日間で法律を改正して施行させるとは、日本やアメリカではあり得ない迅速さですね。
〔この段落は2021年4月26日追記しました〕あらゆる面で日本とは真逆の国・・・・女子高生のスカートの丈や法律制定の迅速さだけでなく、あらゆる面でニュージーランド(NZ)は日本とは真逆の国のような感じがします。【男女平等】NZの首相は女性で、世界経済フォーラムが発表しているジェンダー・ギャップ(男女平等ランキング、上位ほど平等)で日本は156カ国中120位と途上国並みの低さであるのに対してNZは4位と世界で最も平等な国の1つです。特に女性参政権が認められたのは127年前の1893年で、これは世界初のことだったようです(ちなみに日本では75年前の1946年に認められました)。【財政赤字への対応】日本の政府債務残高(政府の借金)のGDPに対する比率は世界189カ国中、ベネズエラ、スーダンに次いで第3位(256%)であるのに対してNZのこの比率はわずか41%で世界第146位となっています(2020年)。80年代半ばにNZで財政収支が悪化した際には、公務員の数を半減させるなどの大胆な改革が実行されたことは問題1(政治)でもご紹介しました。【報道の自由度】国境なき記者団による報道の自由度ランキングで日本は世界180カ国中67位とやはり途上国並みとなっていますがNZは8位です(2021年)。日本のランキングは21年に前年より1つ下がりましたが、国境なき記者団によると、これは「菅義偉氏は、安倍晋三氏のかつての右腕で、20年9月に首相を引き継いだが、報道の自由をめぐる環境を改善するために何もしてこなかった」ためだそうです。
【主要な産業】NZの主要な産業は農業、畜産業および農畜産物の加工業、観光などとなっていますが、日本では製造業、サービス業が中心となっています。【コロナウイルスへの対応】オーストラリアのシンクタンク、ロウイー研究所による、各国のコロナウイルス対策の有効性の指数では、NZは102カ国中2位(1位はブータン、3位は台湾)であったのに対して、日本は48位でした(3月13日現在)。【国土開発の基本方針】土建屋国家日本ではどんな山の中にも道路を建設しようとしますが、NZでは自然をできるだけ残して、道路建設は最小限にとどめるという方針のようです。また、鉄道はごく限られた地域にしかなく、主要な輸送手段は車と航空機のようです。こうしてNZに比較してみると、日本の民主主義は形だけのものであることがよく分かります。
上の写真はクライストチャーチのカードボード(つまり段ボール)・カセドラル(仮設大聖堂)の内部ですが、壁や天井などの主要部分が段ボールでできているようです。東日本大震災が発生した2011年3月11日の17日前にあたる2011年2月22日(HP掲載日のちょうど10年と6日前)に発生した、クライストチャーチ近郊を震央とする「カンタベリー地震」のために、町の象徴であった大聖堂が崩壊して修復不可能となったため建てられた、段ボール造りの仮設の大聖堂ですが、設計は日本人の坂茂(ばん・しげる)さんで、着工後わずか2年で完成したそうです。簡素でなかなか美しい教会でした。
教会の外観です。東京の3月頃の気温でしたが、真夏のような服装で歩いている方もいらっしゃいました。
教会の外観の写真で教会右手の塀の内側にある花壇を写したものです。この写真に写っている道路の反対側の空き地には、大地震前には「カンタベリーTVビル」が建っていましたが、このビルは地震で崩壊して、訪問時点では、解体撤去されて駐車場などとして利用されていました。カンタベリー地震の死者は全部で185人でしたが、そのうち115人はこのビルの崩壊による犠牲者で、この中には28人の日本人留学生も含まれていました。
上の写真の右手の山はニュージーランドの最高峰であるアオラキ/マウント・クック山(標高3,724m、アオラキは先住民族の言語であるマオリ語で、「雲を突き抜ける山」という意味だそうです)で手前の湖はフッカー湖で、湖水の色は氷河が浸食した岩石の色だそうです。湖の右端に氷河の末端が白っぽく、わずかに顔を出しているのが分かりますが、氷河が崩れた氷が流れてきて左側にたまっています。
宿泊したハーミテージ・ホテル(上の写真)を昼に徒歩で出発するとフッカー湖まで行って、夕方までに戻ってこられるようです。6時頃までに戻る予定でしたが、7時近くなったため、ホテルの近くまで来た時には、かなり暗くなってしまいました。ホテル内には、「サー・エドモンド・ヒラリー・アルパイン・センター」があり、ニュージーランド出身で、エベレストに初登頂したヒラリー卿の愛用品や搭乗した雪上車などが展示されているそうですが、駆け足旅行であったこともあって私は見落としてしまいました(2021年2月28日)。
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