問題52(経済)の答え・・・「c. 400億円の損失が新たに発生する」が正解です。

簿価が380億円の担保の売却代金は約30億円と見込まれているそうです

つまり、担保が簿価の13分の1でしか売れないようです。仮に、大手16行の不良債権額から貸倒引当金を差し引いた額、12兆8,000億円 (=17兆4,000億円 - 4兆6,000億円)が担保の簿価であり(これは、十分な貸倒引当金を積んでいると想定したことになります)、さらにこの担保の売却価格が簿価の13分の1であったとすると、大手16行では最終処理によって、新たに11兆8,000億円の損失が発生することになります。大手16行の株主資本(資本金と剰余金の合計)は合計で22兆2,000億円程度ですから、ほかの収益でこれを穴埋めしない限り、大手16行は株主資本の半分以上を失うことになります。

担保が13分の1でしか売れないというのは、かなり控えめな想定とみられますが(つまり、もっと高く売れる可能性が高いとみられますが)、外資系企業などが市場で不良債権を購入する場合の価格は、不良債権額の10分の1程度となる場合が多いようですので、あまり大きくは外れていないようです。『日本経済新聞』2月21日付の特集記事によれば、UBSウォーバーグ証券の笹島勝人氏は「最終処理するためには、最低でも引当金を(現在の4兆6,000億円から)倍増する必要がある」と指摘しているそうです。

また、以上の話は、不良債権額がこれ以上増えないことを前提にしていますが、そごう、熊谷組などの経営不振企業に対する貸付金が、債権放棄を要請する直前まで、多くの金融機関では不良債権として計上されずに、「要管理先債権」(回収に注意が必要な債権という意味だそうです)に分類されていたことを考えると、不良債権額がこれ以上増えないと予想するのは、実態を無視した楽観的な見方と考えられます。

「失われた10年」の間に、ほとんどリストラを進めずに、問題を先送りしてきた金融機関は、これから本格的なリストラを実施しなければ生き残れない、ぎりぎりのところまできていると言えるのではないでしょうか(2001年3月9日)。

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