問題90(人権)の答え・・・入国審査で、(c. 四つんばい)になることを求められた・・・が正解です。

国家権力が公然となんの罪もない人間を全裸にして辱めている

月刊「サイゾー」2006年4月号に掲載されていた、岡留安則氏と、元朝日新聞記者、朝日ジャーナル編集長で、TBSテレビの『筑紫哲也NEWS23』のメインキャスターを17年7ヵ月も務めた故筑紫哲也(ちくし・てつや)氏との対談で、岡留氏は、『・・・(サイパン島経由で向かうテニアン島の)カジノの軍資金として現金300万円ほど持参していたので、テロ資金に疑われたのかも知れませんが、サイパン空港で荷物を徹底検査された挙げ句、それこそ「四つんばいになれ!」と言われましたよ。で、税関の担当がホモ趣味なのかしらないけど、チンポコまでまさぐられた(笑)。それ以来、「こんなアメリカには二度と行くまい!」と思いましたよ。』と言っています。

国家権力が公然となんの罪もない人間を辱めているというのは、ナチスドイツによるユダヤ人の扱いに近いと思います(そういえば、第二次世界大戦中に、フランス人民によるナチスドイツに対する抵抗運動は、現在ではレジスタンスと呼ばれていますが、ナチスドイツではこの運動のことを、テロと呼んでいたことは、問題68(政治)の答えでもご紹介しました)。この記事で筑紫氏も次のように言っています。

―アメリカは実に不愉快ですよ。ニューヨークの国際空港はまだ紳士的だけど、ハワイなんか、ものすごく待たせるしね。アメリカ国内を飛行機で移動するとなったら、さらに不愉快。これは明確に人種差別だもの。僕ら、現地のクルーと一緒に動くでしょ? そうすると、白人の仲間はさーっとゲートを通って、こっちを見て手を振っているわけ。一方、我々は別コーナーにずらっと並ばされる。そこから、あるひとりのクルーだけが、「靴を脱げ」「あれを脱げ」と言われて、全部脱いだね。挙げ句には、パンツまで脱がされたって。・・・・いずれにしても明確に人種差別だよ。・・・・・今、アメリカが何をしているのかと言えば、盗聴や秘密収容所での拷問行為ですよ。これは今までのアメリカの国是(引用者追記:(こくぜ)国としての方針)から言えば許されないことですよ。・・・『NEWS23』でも報道しましたが、中東系の人がいきなりアメリカの空港で拉致されて、転々と引きずり回された挙げ句、収容所で「おまえは、アルカイダの一派じゃないか?」と拷問される・・・。その人は、家族連れでたまたま休暇を楽しんでいただけなのに。」

上記の対談は2006年頃の話ですが、こんな差別はまだ続いているようです。朝日新聞(2011年7月21日付)によれば、2011年7月14日に、「(米アリゾナ州の空港で)過剰な被爆を避けるため、全身スキャナーでなく金属探知機を使ってほしいと頼んだだけで、検査官らに取り囲まれ、以前受けたボディタッチへの恐怖から、思わず払いのけた(担当弁護士の説明)」日本人女性が、検査官の左胸をつかんだことになり、「性的虐待」で逮捕される事件が起きました。

同記事ではさらに、『「テロ対策」の名の下での、厳しくなる一方の米空港の警備体制にへきえきしていた人々から、ネット上で「よくぞ当局にやり返した」と彼女への礼賛が相次ぎ、フェイスブック上の支援ページが続々誕生する社会現象になっている。・・・フェイスブックの支援ページの中には、4000人近くが登録したものも。1955年にバスの白人優先席に座って逮捕された「公民権運動の母」(引用者追記:アフリカ系アメリカ人(黒人)女性のローザ・パークス)になぞらえる書き込みが目立ち、大統領選候補に推すページまである』そうです。

民主主義の国とは言えなくなったため、他国を説得できなくなった

筑紫氏は、サイゾーの記事で次のように言っています。『僕は昔からアメリカの強さというのは、「核兵器を持っていること、圧倒的なドルを持っていること、それともう一つ大事なのは民主主義の国であること」、この三種の神器引用者追記:(さんしゅのじんぎ)天皇の皇位の標識として受け継いできた三つの宝物のこと、比喩的に備えておきたい三つの重要な品のこと)だといってきたけれど、とりわけこのソフトの武器の方が強かったわけです。実際、日本ほど占領軍を歓迎した国というのは他に例がなく、マッカーサー自身も「歴史上、これほど成功した占領はない」といっているぐらいだけど、それはなぜかと言えばやはりデモクラシーの強さなんですよ』

米国は中国や北朝鮮に人権問題を改善するように警告し続けていますが、(中国の人権問題に口をはさんでも)「じゃあ、おまえがやっていることはなんだ」と言われれば、反論しようがないというのが、筑紫氏と岡留氏の見方です。

米国は、同時多発テロ後の、なりふり構わない「テロ対策」のために、国内の有色人種や外国人の人権を踏みにじっているようですが、そのため、自らの力の重要な三つの源泉のうちの一つを失ったようです(2012年10月27日)。

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