テニスがうまくなりたい方に(パートII)

「テニスがうまくなりたい方」(99年3月16日掲載) が結構好評で、4月29日のテニスクリニックについても何か書いてくれるようにという要望がありましたので、今回のポイントを御紹介させていただきます。

@ストロークの基本3・・・打ったボールの方向が、自分が考えていた方向からどちらにずれたかによって、打点を調整する。

ストロークには最適な打点があり、絶えずこの打点で打つことがストロークに精度向上のためには非常に重要だそうです。最適な打点は、(1)グリップ(コンチネンタル、イースタン、セミウエスタン、ウエスタン)、(2)スタンス(ネットに垂直つまり、クローズドか、ネットに平行、つまりオープンか)、(3)スイングの種類(トップスピン、ドライブ、スライス)などによって異なります。

この位置は自分で発見するしかありませんが、ベースラインから打って、ネットの1mくらい上を通って、相手側のベースラインの近くに落ちるのが最適の打点ということになります。コーチをしていただいた飯塚義弘さん(経営学部4年、硬式庭球部、主務)によれば、私の場合には、打つたびにかなり打点がずれているようです。同じく山下智史さん(法学部2年)によれば、身長168cmの私がセミウエスタングリップでフォアハンドのトップスピンを打つ場合には、前側の足(クローズドスタンスでは左足)の20cmくらい前で、私が考えていたよりもかなり体に近い位置が最適だそうです。この位置だと手はほぼ前に差し出された感じになります。これまではボールが体からこれよりも離れた位置で打っていたのですが、そのためスイングがアウトサイド・イン、つまりスライスのように外側から内側に入ってくることになり、手でこねる感じになるそうです。体に近い位置で打つと、十分なフォロースルーができるようになると中沢崇さん(国際関係学部2年)が教えてくれました。

次に打点がこの最適の位置からずれたとします。堀内監督によれば、打点のずれ方とボールの飛ぶ方向のずれとの間には一定の関係があるため、ボールが飛んでいった方向がどちらにずれたかによって、打点を調整することが可能だそうです。

水平面上で、打点が前方(ネット側)にずれたとすると、ラケットの面が上を向く(ラケットを持って動かしてみると分かります)ため、ボールは思っていたよりも遠くに飛ぶ傾向があり、逆に、後方にずれた場合には、ラケットの面が下を向くため、狙った位置よりも近くに落ちる傾向があるそうです。同様に、打点が右にずれると、飛ぶ方向も右にずれ、左にずれれば、狙っていたよりも左に飛んでいくそうです(左右のずれについては、前後のずれほど明確に説明が理解できませんでしたが、野球のバッティングのことを考えれば、似たような関係になっている気がします)。

ただ、私の実感では、左右へのずれについては、打点のずれよりも、インパクトの時にラケットの面の向きの方が大きく影響している気がします。私の経験では、フォアハンドで振り遅れると右にずれ、スイングが速過ぎると左にずれるような気がします。これは、振り遅れた場合には、ラケットの面が右向きにずれ、速すぎた場合には、左向きにずれるためでないかと思います。

Aストロークの基本4・・・相手の打ったボールの落下地点によって、ストロークの狙いを変える。堀内監督はコートをネット側から、(1)決めるゾーン[サービスラインとネットの中間点の辺りまで]、(2)アプローチ・ゾーン[サービスラインの1m弱手前まで]、(3)オフェンス・ゾーン[サービスラインの前後1m弱]、(4)ラリー・ゾーン[ベースラインの1m弱手前まで]、(5)ディフェンスゾーン[ベースラインから1m弱の範囲]と五つのゾーンに分けて、どこのゾーンにボールが落下したかによって、ストロークの種類を変えるべきだそうです。(1)、(2)、(3)のゾーンに入ったボールに対しては、攻撃的なショットを打ち、(4)のラリーゾーンに入ったボールに対しては、相手の出方を探るようなショットを打ち、(5)のディフェンス・ゾーンに入った場合には、正確に返すことに重点を置くそうです。ただし、これは、相手のボールがかなり威力のある場合の話で、あまり威力のないボールの場合には(5)からも攻撃的なショットを打つことが可能だと思います。というよりも、私の苦い経 験によれば、相手が強くて、こちらのボールに威力がない場合には、いくら深く打ってもあまり意味はないようです。

Bストロークの基本5・・・シングルスのストロークでは、クロスに打つのが基本で、決めるときだけストレートに打つべきだそうです。これは、第一に、クロスに打つとネットが低く、しかもベースラインまでの距離が長いためミスショットになる確率を抑えることができ、第二に、ストレートに打った場合に相手を走らせる距離よりも、相手がこれをクロスで返した場合に、自分が走らされる距離の方が(ボールに角度がついているため)長くなるためだそうです。

Bサーブのスタンス・・サーブの構えのスタンスでは、(右ききの場合)左足のつま先は右側のポールを向けるのが基本だそうです。左足はこれと平行に置くのが素人で、うまい人は、上の図に示したように、左足のかかとの後ろの方向に置くことが多いそうです。これの方が体の回転をうまく使って打つことができるためだそうです。

亜細亜大学のテニスクリニックに参加したのは4回目か5回目ですが、堀内監督をはじめ、サービス精神満点の部員の方々のご協力で大変楽しくかつ、有益な時間を過ごすことができました。堀内監督と直接お話をする機会もあったのですが、クリニックは、一般の人と交流する機会になるという意味で、部員の皆さんの教育にもなっているとのことでした。体育会にありがちな、堅苦しさはなく、部員の皆さんの自主性が尊重されているようでした。しかも、感じのいい方ばかりなのには感心しました(99年5月4日)。

・最初のページに戻る