おじさんの逆襲

といっても、若者だけの世界だった「ジュリアナ東京」に、欲求不満のおじさん達が「お立ち台ギャル」見たさで、大挙して乗り込んでいったという話ではありません。若者中心だったファースト・フード店(家の近くの吉野家とミスタードーナツ)で、最近おじさんの姿が目立つようになった気がするという話です。

25年来の友人で、札幌で不動産会社を経営しているY.S.さん(若い頃の写真を見たい方はここをクリックしてください)の奥さんのY子さんは、染織アーティストで、今年(99年)11月初めに銀座で個展を開かれました。Y.S.さんは、個展の開催期間の最終日の前日の夕方に東京に来たのですが、それまでは札幌で留守番でした。留守番中に、夕食を作るのがめんどうなので、あまり行ったことのない近くの吉野家に行ったところ、隣の席に、仕事の関係でよく知っている、ある大手ゼネコンの札幌支店の部長さんが座っていたそうです。東京だけでなく、札幌でも、吉野家におじさんが進出しているらしいことから判断すると、ひょっとしておじさんのファースト・フード店への進出は全国的な現象なのかも知れません。

おじさんが増えている原因の一つと私が考えているのが、新メニューの登場です。今年、吉野家は、「けんちん定食」と「牛鮭(さけ)定食」という二つメニューを追加しました。両方とも価格は490円ですが、まともな定食です。「けんちん定食」の方は、(1)けんちん汁(みそ汁よりもかなり大きいお椀に入っている)、(2)牛皿(牛丼の具を皿に盛ったもの)、(3)野沢菜漬け(こちらは季節によって替わるそうです)、(4)ご飯のセットです。「けんちん定食」のけんちん汁を鮭の切り身を焼いたものと入れ替えたのが、「牛鮭定食」です。若い人にとっては、夕食としては物足りないでしょうが、肥満を気にする、私のようなおじさんには、この程度の量がちょうどいいような気がします。

一方、吉野家の筋向かいにある、ミスタードーナツは去年ころまでは、中高生のたまり場になっているという感じで、しかも、たばこの煙の臭いが立ちこめていたのですが、最近では、若者のほかに、おじさんや老人も見かけるようになりました。こちらの客層の変化にも、新メニューの影響があったようです。ミスタードーナツは、飲茶(やむちゃ)のメニューが加わりました。お勧めなのが、チャイナタウン・ワンタン麺(めん)セットと坦々(たんたん)麺セットです。二つのメニューの価格はともに650円ですが、これで(1)ワンタン麺または坦々麺、(2)シュウマイ1個、(3)えび餃子(ぎょうざ)1個、(4)ピリカラ饅頭(まんじゅう)または肉饅頭、(5)コーヒーまたはほかのドリンクがセットになっています。麺の器はかなり小さいため、若者には物足りないと思いますが、やはり食べ過ぎを気にする若い女性や中高年にはちょうどいい量だと思います。このセットで麺を「食らう」ときに、面食らうのは、特に希望しない限り、箸(はし)が付いていない点です。ただ、右手にフォーク、左手にれんげ(中華のスプーン)を持って食べるとうまく食べられるようです。吉野家のセットよりも 高いのですが、こちらには単価が250円のコーヒーがついていることを考えると、かなり割安といえます。

吉野家のセットは特別おいしいというわけではありませんが、ミスタードーナツの方は味も本格的のような気がします。とにかく、ある程度満足のできる食事が、こんなに安くできるというのは画期的のような気がします。

(お断り)吉野家からは、創業記念100円割引券を、ミスタードーナツからは、MISDO CLUB のビニールバッグと筆入れ(これは愛用しています)をいただいたことはありますが、これら以外の報酬は一切いただいたことはありません。

(99年11月23日)。

「Y.S.さんのコメント」

この文書を載せさせていただきましたことを年賀状でY.S.さんにご連絡申し上げましたところ、ご丁寧にお返事(2000年1月11日付)をいただくことができましたので以下にその一部を引用させていただきます。



 YAHOOとはヤッホーのことかと思っちゃった。当社の社員にお願いしてホームページをコピーしてもらいました。
 私、過去に若者に攻撃を受けたことなどなく、オヤジの反撃とは一体何事かと首をかしげたのですが、ようやく納得致しました。ちょっと気になるところもありましたが、楽しく読ませていただきました。

気になるところ

  1. 私、吉野家は、結構利用しております。
  2. 大手ゼネコンの部長さんどころではなく、奴(やつ)は支店長様なのです。
    しかも、慣れた風に店に入ってきて、「シャケテイくれい!」と言ってがつがつ食らって、シーハー、シーハーと、つまようじを使い、少しは腹がおちついたかして辺りを見回し、二席おいて並びに座っている私にようやく、はてな、こいつY.S.かしらん、と、気が付いた様子。しかしながらお互い今更、声をかけるのも面倒くさいし、支店長様は、「あいよ!、ご馳走さん!」と、店を後にしたのではあります。
  3. 小樽運河のうらびれた25年前の様子はともかく、あのやせこけた猫背の、金がなくて床屋にいけなくて(実は親から金はもらっていたくせに小遣いに使ってしまった)貧乏まるだしのセーネンは一体どうして、写真となって登場しなければならないのか。
  4. その写真をなぜか余ってしまったらしき今年の年賀状に印刷してきてくれた、我が社の唯一の社員。これはどうして年賀状に印刷したのかと、たずねるも、全く意味不明のお答えをされたので、結局私、彼女がなにを言ったのかよくわからないし、問い詰めるべきでないと、とっさに判断した。しかし、それについて又これからずうっと考え込んでしまうのは私の変な癖で、こういう自分がとても嫌いだ。


 しかしながら、ホームページなるものを初めて目にしたのですが、一体皆さんはコンピュータを使ってなにをしていらっしゃるのですか。小倉さんなぞはさぞかしややこしい、私など不動産屋には理解を超えるお仕事に利用されているものとばかり信じていたのに。
 不動産業者でも、管理業務を行っている会社はほとんど使っているし、専用のソフトもあります。
 私も使い道はないかと何度も検討したのですがほんのいくつかの使い道しかありません。なにか口実がないと、いや、何か口実をみつけて購入しようと考えていたのですが結局また、安いコンピューターほども値段のするワードプロセッサーを買いました。
 これが又、古い機械と互換性のある物をようやく見つけて買ったのですが、文書のサイズやらなにやらが大分違っていて、これらを修正するのにもうかれこれ一週間ほどもかかっています。

(中略)

 4―5年も前から女房にFAXを買えと言われ続けていたのに無視し続けていたのですが、ついに抵抗にくたびれて買ってしまったんですが、買ったとたんに私のおもちゃと化し、説明書をうばいとり、すみからすみまで読みまくり、いじくりまわし、ハッと、気が付いたら女房殿の冷たい視線がそこに、
嫌だ、嫌だ、本当にこんな自分が僕は嫌いだ。
 やはり、オヤジは嫌われるべくしてある。

(引用はここまでです)


Y.S様、ご多忙中にもかかわらず、お返事をいただくことができまして、恐縮しております。ワープロは得意であるにもかかわらず、パソコンは苦手というおじさんは結構多いようです。その影響のためか、アメリカの場合には、インターネットを利用する人の比率が、年齢によってあまり変化がないのに対して、日本の場合には20―30歳代ではかなり高いにもかかわらず、40代以上は大幅に低下していると、最近知り合ったル・モンド紙の日本特派員の方が教えてくれました。

私のカミサンの例から考えると、ファイルの取り扱いが問題なのかも知れないと感じています。カミサンの場合、ファイルのコピー、セーブ、転送などを習得するのに、かなり時間がかかりました。それ以外の機能では、ワープロとパソコンではほとんど同じだと私は思っているのですが、どうでしょうか。前にお聞きしたお話では、ミノルタのワープロが不動産業用のソフトが充実していて、昔のファイルも使えるために、継続的に使われているとのことでしたね。最近のワープロは大体パソコンでも読むことができるテキストファイルというファイル形式でセーブできるようになっているのではないかと思いますが、それでもだめなのでしょうか。しかし、ワープロもパソコンも中身はほとんど同じで、パソコンの方がはるかに広い利用分野があると思います。今度買われるときは、パソコンにされた方がいいのではないかという気がしますがどうなんでしょうか。
では、奥様にもよろしくお伝えください。

(2000年2月13日追記)

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