問題87(メディア)の答え・・・〔宇宙船にはシェルターを搭載しなければならず、その壁の〕厚さは(c. 30cm)のアルミニウムでも足りない」が正解です。

本当に行っていたとすれば、宇宙飛行士は「アメリカン・ルーレット」状態だったことになる

例えば、二人の人間がぎりぎり入れるとみられる内径2m(半径1m)、壁の厚さ30cmの球形シェルターの重さは、アルミニウムの比重2.7を使うと、約14トンと計算されます。この重さは、月着陸船(アポロ11号では14.82トン、その後の飛行では16.18トン、同書213ページ)の重さに匹敵するため、このようなシェルターを月まで飛ばすのは非現実的であることが分かると思います。さらに厚さは30cmでも「(放射能を遮蔽するには)足りない」ため、安全な宇宙飛行はますます非現実的であることが分かります。

『アポロは月に行ったのか』(147ページ)にはつぎのように書いてあります。

『・・・嘔吐や吐き気、下痢を引き起こすのがわずか35レム(0.35シーベルト)〔これらの強さについては下記の表1とその下の注をご参照ください〕、被爆者の1割が亡くなるのが75レム(0.75シーベルト)。だとすれば、保護シールドのないアポロの飛行士たちはまさしく太陽フレアという名のロシアン・ルーレット〔引用者追記:リボルバー式拳銃に1発だけ弾丸を装填し、適当にシリンダーを回転させてから、自分の頭に向けて引き金を引くゲーム〕(いや、アメリカン・ルーレットとでも言うべきか)に挑んだのだ。月へ行って帰ってくる間に放射能の影響を受けるか、受けないか。どの飛行士にも重い症状が出て、任務を遂行できなくなる可能性があったことは明らかだ。』

また、太陽フレアの観測記録から次のような事実が明らかになったそうです(同書141―145ページ)。

「72年8月・・・(引用者追記:のフレアは)・・・・観測史上最大級の960レム(9.6シーベルト)という激しいフレアだったことが分かっている。この激しさでは、一瞬で命など消えてしまう。」(141ページ)

「太陽、あるいは恒星のフレアは陽子を放出しており、宇宙船は往路でも復路でも一度ならず危険に直面し、・・・・数時間にわたって数百レムから数千レム(数シーベルトから数十シーベルト)の線量を浴びることになる。これは許容量の数百万倍に当たり、死に至るに十分なレベルだ。500レム(5シーベルト)を一気に浴びると生命を落とす。生涯にわたって500レムであれば、まったく安全というわけではないにしろ、目立った問題にはならない」(143ページ)

「AL時(変則的に大規模な現象が発生する)にはBFO(造血器、引用者追記:血球を造る器官。骨髄など)に致死量を超える600レム(6シーベルト)の線量が吸収される。このような現象は4年に1―2回の頻度で発生する。1972年8月のAL時には、シールドがなければ960レム(9.6シーベルト)が直撃していただろう」(144ページ)

「アポロ計画では月に到達したのが9回ということだが、その間に1,506回、1回の飛行では1日平均16.92回の太陽フレアが記録されている。だが、宇宙飛行士はみな健康そのものだ。米国・海洋大気局(NOAA)のJ. A. マッキノンは太陽フレアの専門家だが、中程度のX線を出す太陽フレアは全体の10―20%、非常に大規模なものは1%だと言う。つまり、飛行士たちは中程度のフレアには16―33回、大規模なフレアにも少なくとも1回ずつは遭遇したはずだ」(145ページ)

問題とされた100―960レム(1―9.6シーベルト)という被ばく量がどの程度のものなのかを示すため、同書に説明のあった、さまざまなレベルの被ばくとその後の症状の関係を、表-1、表-2にコピーさせていただきました。また、この被ばく量を、われわれが日常生活で体験する被ばく量と比較するために、理科年表などの資料から、被ばく量とその影響についての情報を下にコピーさせていただきましたので、ご参考にしてください。

表-1:激しい放射線の被ばく直後に予想される(確定的)症状
(1回の線量)(NVD=吐き気、嘔吐、下痢)
〔『アポロは月に行ったのか』の115ページからコピーさせていただきました〕

線量当量〔レム、(シーベルト、ただし、1シーベルト=100レム)〕 症状 死亡率
0―30(0.0―0.3) 血液変質の可能性あり -
35―70(0.3―0.7) NVD5%―10%+血液変質の可能性あり -
75―160(0.75―1.6) 被ばく者の25%がNVD/目の水晶体に白濁 30―60日間で10%
170―220(1.7―2.2) 被ばく者の50%がNVD/水晶体に、視力が落ちるほどの白濁 30―60日間で20%
230―300(2.3―3.0) 最高で被ばく者の100%にNVD/骨髄損傷/水晶体に、視力が落ちるほどの白濁 30―60日間で40%
310―490(3.1―4.9) 被ばく初日に100%がNVD/肺組織に炎症/骨髄損傷:中―高程度/約350レムで永久的な生殖不能/水晶体に、視力が落ちるほどの白濁 30―60日間で50%
500―620(5.0―6.2) 4時間以内に100%がNVD/肺に深刻な障害/消化管に障害/白内障+失明/骨髄損傷:高程度/永久的な生殖不能 30―60日間で100%
630―950(6.3―9.5) 1―2時間以内に100%がNVD/肺障害:高程度/消化管に障害/白内障+失明/骨髄損傷:高程度/永久的な生殖不能 10―20日間で
100%
960以上(9.6以上) ほぼ瞬間的に活動不能に 1―7日間で100%

注1)イギリスの王立マースデン国民健康保険基金および国立放射線保護委員会、アメリカの海軍試験所、セヴァーン通信社、放射線防護測定評議会(NCRP)のデータを整理したもの。

注2)(吸収)線量と線量当量(後者は等価線量とも呼ばれるようです)・・・・動物が放射能(X線、ガンマ線、ベータ線、中性子線、アルファ線など)を浴びて、体重1キログラム当たり0.01ジュールのエネルギーを吸収した場合に、(吸収)線量が1ラド〔rad、1rad= 0.01グレイ(Gy)=0.01ジュール/キログラム(J/kg)とも表示される〕。線量は吸収した放射能の種類に関係のない尺度ですが、生体が受けるダメージは、放射能の種類によって異なるため、放射能の種類ごとにダメージの大きさを表す線質係数(Q)をかけて、合計したものが線量等量(単位はレム、rem またはシーベルト、sieverts, Sv、ただし、1シーベルト=100レム、シーベルトの補助単位として、1000分の1のミリ・シーベルト〔mSv〕、100万分の1のマイクロ・シーベルト〔μSv〕もあります)です。

表-2:放射線の線質係数(Q)
〔『アポロは月に行ったのか』114ページからコピーさせていただきました〕

放射能の種類 線質係数(Q)
X線、ガンマ線、ベータ線 1
低速中性子 2.5
高速中性子、アルファ線 10
重い原子核(GCR、銀河宇宙線は98%が原子核から構成されている) 10―15

注)J. R. マーフィー『Medical Considerations for Manned Interstellar Flight』, JBIS、1981年、34巻

この表から、同じ量の放射能を浴びた場合には、線量よりも、成分ごとに1倍以上の係数をかけて加えた線量等量の方が大きな値となることが分かります。

理科年表(平成22年版、997ページ)に載っていた国連科学委員会(UNSCEAR)の資料によれば、人間が1年間に地上で浴びる線量当量(実効線量)は2400マイクロ・シーベルト(換算すると、年間0.0024Sv、または2.4mSvとなります)です。また、X線、ガンマ線全身1回照射の場合、30日以内に50%が死亡する線量は4―5グレイ=400―500ラドとされています(理科年表の同じページのデータ)。このデータは、表-1で死亡率の列が、『30―60日間で50%』となっている行の、線量当量が、310―490レムとなっていることから、二つのデータに大きな差がないことが分かります。

また、1999年に茨城県東海村のJCO(住友金属鉱山の子会社)の核燃料加工施設で発生した臨界事故では、2人の死者が出ましたが、1人の方は16―20グレイ・イクイバレント(被ばく量をガンマ線の被ばく量に換算して表示した線量等量/等価線量の単位、Sv/シーベルトと読み替えても大きな差はないとみられます)、もう一人の方は6―10グレイ・イクイバレント被ばくしたと推定されています(財団法人 高度情報科学技術研究機構のホームページのデータ)。これらの結果も、表-1と整合性があることが分かります。


表-3 日常生活での被ばく量
『宇宙放射線被ばく』( http://wind.ap.teacup.com/aspacephysicist/10.html )というホームページからコピーさせていただきました。ただし、表現を少し訂正して、わたしが気が付いた点を「引用者追記」として追加してあります。

被ばく事象 被ばく量(線量等量/Sv、mSv)
・健康診断の時の最初の小さいX線撮影1回分
・成田-ニューヨーク間の片道飛行で浴びる宇宙線量
約0.05mSv
・東京に住んでて1年に浴びる宇宙線の量、
・胃の検査の時のX線撮影1回分、
・宇宙にいて普通の太陽フレア粒子を1発分浴びた時の被爆量
0.2~0.6mSv
・地上に住んでいて1年に浴びる自然放射線量の合計(宇宙線以外にも地上の鉱物とかからも浴びる)
・飛行機に乗っていて10年に1回クラスの大フレアが起こった時浴びる宇宙線〔引用者追記:この指摘は、『アポロは月に行ったのか』の指摘に比べて影響が著しく過小評価されています
・胸部X線CTスキャン1回で浴びる放射線量(実はCTスキャンでは結構浴びることになる)
2~7mSv
・原発等の特殊な環境で働く職員が1年間に浴びてもいい許容量。
・宇宙にいて(当然宇宙船内)10年に1度クラスの大フレアの粒子を浴びた時の被爆量(ものの20-30分でこれくらいに達します) ※フレア粒子は普通3~4日は続きます。もしこんな時に運悪くアポロとかに乗って月往復中だったりすると、宇宙船の中にいようが帰ってきた時は焼き鳥....というか重度の放射線焼けになってるそうな(NASAのシミュレーションによる結果)。実際このクラスのフレアがアポロ14号帰還と15号出発との間であったそうです。一歩間違えばアポロ13号どころでは済まなかったらしい?〔引用者追記:この指摘は、『アポロは月に行ったのか』の指摘に比べて影響が著しく過小評価されています。恐らく、過去に人を月に送ったことがあるというウソとつじつまを合わせるために、「宇宙は安全である」というウソの上塗りをしているNASAのデータに基づいているためと思われます。
20mSv
・これくらい浴びると医者がすぐにわかります。そろそろ命に関わるレベルとなってくる。 250mSv
・宇宙船に引き篭もりながら火星往還1回分
・短時間で浴びると致死率が50%以上になってしまう量※こんな奴はいないと思いますが、宇宙船の外壁の外側に縛り付けられて火星往復をすれば上記のさらに数倍~10倍浴びる。7往復で致死量。〔引用者追記:この欄の指摘は、『アポロは月に行ったのか』の指摘に比べて著しく過小評価されています。
1000mSv (=1Sv)
・短時間に浴びればほぼ即死 数Sv
・のんびり浴びたとしてもほぼ致死量レベル。ガンに対する放射線治療でがん細胞に照射する放射線量がこれくらいだそうです。つまり浴びてる傍から細胞をガンガン破壊できます。 70Sv

二つの疑問に対するお答え

次に、「アメリカン・ルーレット」状態であったと考えると、当然浮かんでくる二つの疑問について以下でお答えします。

(疑問-1)スペースシャトルや国際宇宙ステーションに乗っている宇宙飛行士は安全なのか

国際宇宙ステーションやスペースシャトルの飛行高度は、500km以下で、これは、地球の磁場にとらえられた、陽子、電子からなる放射能帯である、バンアレン帯の下辺または下辺よりも下となっています。そのため、バンアレン帯の影響はほとんど受けないとみられます。また、太陽フレアの影響も、地球の磁場によって、バンアレン帯の内側では、外側よりもかなり小さくなっているとみられます。独立行政法人・放射線医学総合研究所のホームページに載っていた「航空機高度の宇宙放射線環境」( http://www.nirs.go.jp/research/jiscard/information/01.shtml )というページによれば、「(太陽フレアから発生する)太陽粒子は、銀河宇宙放射線(GCR)と比べてエネルギーが低いため、航空機の飛行する高度(9~12km)までほとんど達することがない」とされています。このホームページから下の図もコピーさせていただきました。


(疑問-2)地上に届く放射能は、どうして弱いのか

地上の生物を放射能の被ばくから守っているのは、上記の地磁気の影響と、大気の影響の二つがあります。大気の影響について、『アポロは月に行ったのか』(117ページ)では、次のように指摘しています。

『・・・地球は地表近くを大気圏と呼ばれる空気の層に覆われている。大気圏には、対流圏(赤道では厚さ約29km、極地では約6.4km)から外気圏(高度約500km、厚さ約99.8km)まで、12の層がある。・・・放射能に対する保護という面に絞ってみると・・・・地球の大気圏が放射能を遮断する力は10mの厚さの水と同程度で、大気圏と磁界によって地表に立つ人間が受ける宇宙線の線量は3分の1にまで減少する。・・・』

ここで「3分の1」がどことどこを比較したのかはっきりしませんが、バンアレン帯の外側と比較して地表が3分の1とすれば、かなり控えめな見方と考えられます。例えば、上記の「航空機高度の宇宙放射線環境」によれば、地上20kmの総線量は約10μSv/h(毎時10μSv)であるのに対して地表の総線量は約0.03μSv/hと、その300分の1以下になっています。



飛行士が月面を歩行したと信じるアメリカ人は人口の50%に満たない

問題67(メディア)では、「2001年に米国の大手ケーブルテレビ局フォックスTVが行ったアンケート調査では、「米国国民の約20%、5人に1人がアポロの月面着陸を信じていない」ということをご紹介しましたが、『アポロは月に行ったのか』によると、信じない人は米国民の半分を上回ったようです。こんなでっち上げを、盲目的に信じているのは、日本人くらいかも知れません。同書の64ページから関連する部分をコピーさせていただきます。

「・・・(引用者追記:アポロ11号が月に着陸したとされる1969年の翌年の)1970年にある新聞社がアメリカ在住の1721人を対象とした世論調査を行った結果、30%の人がアポロが月に行ったと信じていないことが分かった。・・・・最近の調査では、NASAが送った飛行士が月面を歩行したと信じるアメリカ人は人口の50%に満たないことを示している。」

ニクソン大統領が「SF超大作」の制作を決断

2002年に制作された、フランスのテレビ・ドキュメンタリー番組「Opération Lune」によれば、月面歩行の画像をスタジオで撮影することを決断したのは、ニクソン大統領だったようです。

この番組はDVD化されていて、Amazon.fr(フランスのAmazon)などで入手可能です。おまけに、音声を英語の吹き替えに切り替えたり、英語字幕を表示させることも可能です。ただし、地域コードがフランス向けに設定されているため、普通のDVDプレイヤーで見ることはできません。わたしはPCを地域コード・フリーにして見ています(この方法については、このホームページの「DVDの地域コードでお困りの方に」をご参照ください)。この番組(120分)の一部が、日本のバラエティー番組でおもしろおかしく脚色して使われたため、実物をみたこともないにもかかわらず、バラエティー番組の内容から判断して、内容に問題があるという主張をしている方もいらっしゃるようです。しかし、わたしや、プリンストン大学卒業後、フランスのビジネススクールでMBAを取得された米国人の知り合いの見るところでは、これはまじめなドキュメンタリー番組だと思います。また、New York Herald Tribuneがこの番組のことを"a French television documentary"と紹介した記事がDVDの最後の方に紹介されています。

『人類の月面着陸は無かったろう論』(副島隆彦(そえじま・たかひこ)著、269ページ)によれば、この番組を制作した『アルテ社は、ドイツ政府とフランス政府が共同で出資して作っているテレビ放送会社であり、日本のNHKの教育番組のような放送局だ、とテレビ朝日の番組自身が解説していた』そうです。〔副島氏はこの本を書いたため、各方面からいやがらせを受けているようですが、この本に書いてあることに、大きな間違いはないと思います。副島様が、いやがらせにもめげずに、主張を通されるよう祈っております。〕

この番組では、故ニクソン元大統領の秘書だったEve Kendall という女性が、ニクソンが月面歩行の画像をスタジオで撮影するように決断した場面を生々しく振り返っています。その場所にいた(または、電話で参加した)のは、キッシンジャー大統領補佐官、ラムズフェルド補佐官(ウソの理由でイラクに戦争を仕掛けたときの国防長官)、ヘイグ主席補佐官、ローレンス・イーグルバーガー補佐官、リチャード・ヘルムズCIA長官(すべて当時の役職名)などでした。

1969年のある日、ソ連[現在のロシア共和国が中心となった連邦国家で1991年に分裂・崩壊した]が1カ月以内、場合によっては数日中に月に人を送る可能性が高いという情報をCIA長官がニクソン大統領に伝え、イーグルバーガー補佐官も、「先を越させることはできない」と進言したそうです。そこで、ニクソンは、NASAの高官に、「準備はできているか」と聞きましたが、NASAの高官の答えは、「まだ半分ほどしか準備はできていないため、月面歩行の映像は送り返せないかも知れない」というものでした。これに対して、ニクソンは「アメリカ人が月に第一歩を記す映像を世界中が待っているので、それ(引用者追記:月面歩行の映像のないような計画)はあり得ない話だ」と答えたそうです。そのとき、ヘイグかラムズフェルドが、「第一歩の映像をスタジオで撮るというのはどうでしょう」と進言したとKendall氏は語っています。そこで、ニクソンは「2週間以内にすぺての準備を整えてください」"Gentlemen, you have only 2 weeks to get everything prepared."と指示したそうです。そのあと、ニクソンはKendall氏のところにきて、すべてのメモを自分で細かくちぎってくずかごに捨てたと、Kendall氏は述べています。

その会議の直後に、ラムズフェルドは、ニクソンに、『2001年宇宙の旅』("2001: A Space Odyssey")を監督したばかりの、スタンリー・キューブリックに依頼すれば、この映画で使われたロンドンのスタジオも使えるので好都合であると進言したところ、大統領に受け入れられたそうです。

アポロ計画では、多数の関係者が原因不明の事故などで死亡していることもよく知られています。その第1号とも考えられているのば、アポロ計画について批判的で、「このままでは誰かが犠牲になる」と家族に話していた、宇宙飛行士のガス・クリムゾンで、アポロ1号の訓練中に宇宙船内でほかの2人の飛行士とともに焼死しました(この話は問題67(メディア)でもご紹介した『アポロってほんとうに月に行ったの?』(朝日文庫)に載っていました)。そのほかにも原因不明の事故に遭った関係者が多数いるようです。

「Opération Lune」によれば、6回の月面着陸のあと、ニクソンは証拠隠滅を図るために、多数の関係者を『消す』ように命令したそうです。さすが、これには、ラムズフェルドでさえ、それはまずいのではないかと進言したそうですが、時すでに遅しで、命令は実行されたようです。中には、南米最南端のパタゴニアで、バラバラにされた死体が発見されたにもかかわらず、自殺とされている例があることもこの番組で紹介されていました。また、この番組で、「elimination」作戦のキーパーソンとされ、作戦の詳細について「生命に関わる問題なので、カメラを止めなければ話せない」と証言していた、当時のCIA副長官のヴァーノン・ウォルターズ将軍は、収録後間もなく、心臓麻痺で死亡したそうです。また、キューブリック監督も、アポロ計画後は、決して飛行機には乗らず、死ぬまで妻と共に家にこもり、最晩年には、すべての映画を自宅で撮影していたそうです。

大きな利権がからんでいる

「Opération Lune」によれば、アポロ計画には巨大な利権が絡んでいるそうです。計画に関係している、航空宇宙産業の職員は、アポロ計画の前後で、3万人から40万人に急増したそうです。NASAの施設のある、フロリダ州(打ち上げ基地)、テキサス州(ヒューストン管制センター)、カリフォルニア州(サターンロケットの工場があった)が選ばれたのは、政治的理由によるとのことです。テキサス州は、ニクソンの前の大統領であった、ジョンソンが以前知事をしていた関係があり、ブッシュ父、子は、テキサスとフロリダで土地にかなり投資していた関係があり、ニクソンとレーガンは、カリフォルニア州の知事だったことがあるため、自分たちに都合のいい場所が選ばれたようです。この点について、この番組では、「宇宙開発計画による巨大な利権(cake)は古典的なマフィア・ファミリーの掟に従って分配された」"The huge cake represented by space programs was shared out according to the classic mafia family rules."とされています。

問題文でも触れたように、ブッシュ前大統領が、月旅行計画(コンステレーション計画)を発表したのに対して、オバマ大統領は、開発の遅れと予算超過を理由にこの計画を中止したのですが、「宇宙産業の多い南部各州からからは、シャトル退役後の雇用喪失や技術力低下を懸念する声が出ていた・・・・オバマ大統領は、新政策(2030年代半ばに火星に人を送る計画)により、コンステレーション計画を継続した場合よりも2,500万人以上多い、新たな雇用が創出されると強調」しているようです(『東京新聞』(2010年4月16日付))。

こうして見てくると、アポロ計画は、公表されているねつ造写真や映像にみられるような、人類の英知を集めた、人類の将来のための崇高な探検計画というイメージとはかけ離れた、ウソ、利権、国際競争、だまし合いの産物であるだけでなく、殺人さえも行われた可能性のある、ダーティな計画のようです(2010年5月9日)。

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