小渕首相への不正献金疑惑

きのう(99年12月7日)インターネットの毎日新聞のホームページで下の記事を見つけました。

(直接ごらんになりたい方は、次のURLをクリックしてくださいhttp://www.mainichi.co.jp/news/selection/archive/199912/07/1207e064-400.html )。

当然、毎日新聞にも掲載されると思っていたところ掲載されませんでしたので、ご紹介させていただきます(99年12月8日)。


1999年12月7日
政治献金:
小渕首相の資金管理団体を東京地検に告発 教授ら

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 小渕恵三首相の資金管理団体「未来産業研究会」(東京都千代田区)に、実質的な活動をしていない政治団体を経由して7人から200〜500万円の献金が流れているのは「同一個人からの献金上限(150万円)を定めた政治資金規正法に違反する」として、大阪の大学教授らが7日までに、同研究会を東京地検に告発した。
 告発したのは森岡孝二・関西大学教授(経済学)ら7人。

 告発状によると、会社役員の男性が昨年、小渕首相の政治団体である「恵友会」に150万円、「恵山会」「恵和会」に各100万円、未来産業研究会に150万円――の総額500万円を寄付した。「恵友会」など3団体は、未来産業研究会と会計責任者か事務担当者が同一人物であり、実質的な政治活動をしていない「ペーパー団体」。このため男性の寄付は事実上、未来産業研究会一団体への寄付で、上限を超える献金をするためのこうした違法・脱法行為は、計7人から行われ総額は1700万円に上るとしている。

 森岡教授によると、告発状は2日郵送され、その後東京地検特捜部に受理されているという。

 未来産業研究会は告発による指摘に対して「届け出の内容については違法性はないと考えている」とコメントしている。
(ここまでが引用です)


(以下は99年12月11日追記)

大手メディアは政府に都合の悪いことはあまり報道しない

ホームページに載せた記事をなぜ新聞には載せなかったのかと毎日新聞に電話で問い合わせてみました。担当者のお話では、電子メディア(ホームページのことで、サイバーともおっしゃっていました)と新聞は別の媒体で、電子メディアで載せた記事でも、新聞の方では紙面の関係で取捨選択されるため、載せないこともあるそうです。

現在国会では、政治資金規制法改正法案が審議されています。このような時期に、この問題に直接関係する極めて重要な内容を含んだ記事を、一面トップに載せるのではなく、全く無視するというのは、理解に苦しみます。このことを当然知っているはずの他のメディアも、ほとんど報道していないというのも、極めて問題だと思います。

新聞をはじめとする大手メディアは、記者クラブ制度(*注)などによって、権力と持ちつ持たれつの関係にあるため、政府に都合の悪いことはあまり報道しないようです。

印刷媒体でこの件を報道したのは、私の知っている限り写真週刊誌の「フライデー」(12月24日号、講談社刊)だけだったようです。「フライデー」の「大反響!! 東京地検に告発された小渕恵三首相の"政治資金団体"、"仮面の善人"の卑しい野望、第8回、「政界浄化」が聞いて呆れるデタラメ発覚!」という記事から、告発代理人の一人である、松丸正弁護士のコメントを以下に引用させていただきます。

「こんな手口が通用するというのなら、政治家は架空の政治団体をどんどんつくればいい(引用者注:無制限に政治献金を受けることができる)ということになる。ペーパーカンパニーをつくって脱税するのと同様の手口で、悪質な犯罪行為です。それを一国の首相がやっているとなったら、国民は法律を守ることがアホらしくなりますよ」

(*注)これについては、問題27(報道)「答え」の部分をご参照ください、また、「フライデー」(12月24日号)の「防衛庁が血税26億円注いで完成させた「接待船」の仰天内部・・・本誌「設計図」スクープから10カ月」という記事にも、記者クラブ制度がどのように機能しているかを示す具体例が載っています。


(99年12月27日追記)

松戸市立幼稚園で、園長がカラ出張告発の女性教諭に、トイレ以外は空き部屋から出ないように指示

毎日新聞のホームページには載っていても、毎日新聞の本紙には載っていない記事が上の記事以外にもけっこうあるようです。12月24日にはホームページに「特報・教諭隔離:幼稚園でカラ出張告発の女性教諭を―松戸市」という記事が載っていました。(記事をごらんになりたい方は次の URLをクリックしてください: http://www.mainichi.co.jp/news/selection/archive/199912/24/1224e082-400.html )この記事によると、同僚の女性教諭が、カラ出張で幼稚園から計40万円を着服していたことを教育委員会に申告した教諭が、犯行事実が松戸市監査委から認められたにもかかわらず、担任を外されただけでなく、(1)職員室の出入りは出勤簿への押印時のみ、(2)トイレ以外は、空き教室から出ない、(3)園児、保護者とは接触しないことを命じられたそうです。おまけに、園長はカラ出張していた2人には一切処分は行わなかったそうです。

園長は、カラ出張は悪いことだとは思っていないようです。さらに勘ぐって言えば、カラ出張は既得権だと思っているために、この既得権を「侵害する」教諭に対して脅威を感じたのかも知れません。


以下に記事の全文をコピーさせていただきます。

特報・教諭隔離:
幼稚園でカラ出張告発の女性教諭を−松戸市

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 千葉県松戸市立中部小学校付属幼稚園(山本龍蔵園長、園児47人)で、女性の主任教諭(56)が今年6月から「研究業務」を名目に空き教室に“隔離”されている。この教諭が同僚のカラ出張疑惑を告発したことから、「告発した者とされた者が同じ職場で仕事はできない」というのが理由。主任教諭は24日、無人の教室で2学期の終業式を迎えた。市内唯一の市立幼稚園で、園児不在の混乱が続いている。
 トラブルは昨年10月、この教諭が主任として同幼稚園に赴任したのが発端。同園の総括的な運営を担当するうち、同僚の女性教諭2人がカラ出張で幼稚園から計約40万円を着服していたことをつかみ、今年1月、同市教委に申告した。

 この問題は市議会で取り上げられ、沢間俊太郎市議は5月に千葉地検松戸支部に業務上横領容疑で2人の教諭を告発した。同市監査委はカラ出張と認定し、11月に2人から約40万円を返還させた。

 ところが、市教委はカラ出張していた2人には一切処分を出さず、逆に山本園長が6月5日、告発した側の主任教諭に「21世紀の幼児教育の在り方」についての研究業務に専従する職務命令を出した。主任教諭によると、併せて(1)職員室の出入りは出勤簿への押印時のみ(2)トイレ以外は、空き教室から出ない(3)園児、保護者とは接触を禁止する――との指示を受けたという。同園では併設している小学校の教頭が主任職を代行し、さらにこの教諭に代わるパートの職員を採用。教諭は事実上、主任職を解任された状態だ。

 主任教諭はこの半年間、給与は支払われているものの、出勤すると2階建ての施設の1階の空き部屋にこもったまま。同僚のカラ主張が認定された後も処遇は変わっていないという。

 この措置について山本園長は「幼稚園の今後を研究してもらうため、私の裁量で指示した。報復や隔離ではない。市教委にも報告している」と説明。また、市教委の山根恭平学務課長は「教育委員会が指示したものではないが、(園長の指示は)一連の問題とは関係ない。パート職員は、カラ出張問題後の同園の混乱に対応するためのもの」と話している。

 一方、主任教諭は「カラ出張については、山本園長にも指摘したが取り合ってくれなかった。研究専従の命令について、園長は『告発された教諭の気持ちを考えた措置』と説明したが、明らかに私を排除するもの」と抗議している。

 下村哲夫・早稲田大教授(教育経営学)の話 主任教諭の申告は公務員として当然の行為。それに対して園長の措置は報復とみられても仕方がない。研究テーマが1人で専従してできるものでもないし、必然性がない。主任職の任命権は教育委員会にあり、明らかに園長の職権乱用といえる。


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