テニスがうまくなりたい方に(パートIII)・・・ひとことの大切さ

「テニスがうまくなりたい方に」(パート I )、(パートII )でご紹介した、亜細亜大学の「1日テニスクリニック」に今年も参加することができました。最初の申し込みには落選してしまったのですが、今年は落選者を対象にして、2月19日に例外的にもう1回クリニックを開催するという連絡をいただき、申し込んだところ、参加することができました。堀内監督をはじめとするコーチの皆さまの顔ぶれは、卒業された方と新入生が入れ替わった以外は、去年のクリニックとほぼ同じでした。また今回は、スカイパーフェク TV の 「Tennis TV」 の方もクリニックに参加され、ついでに録画もして、3月中旬以後に放送するそうです。もしご覧になる機会がありましたら、登場している変なおじさんが私です。また、今回はセルジオタッキーニが後援していたため、参加者全員にバンダナが当たっただけでなく、抽選でテニスバックが当たった人もいました。

(1)定期検診の必要性・・・何年も参加していると、毎年同じようなことを指摘されることが分かりました。クリニックに参加した直後は気を付けているつもりなのですが、しばらくすると忘れてしまって、翌年のクリニックのときには元に戻ってしまうという傾向があるようです。この講習会が「1日テニスクリニック」と名付けられているのは、定期検診と同じように、たまに、テニスのうまい人に「診断」してもらうのが、役に立つとお考えになったためであるという気もしてきました。以下に、前回に続いて私が指摘された点をご紹介します。これらは私の個人的な欠点ですが、私が見る限りかなり多くの方が、同じような傾向があるような気がしますので、あえて恥をさらすことにします。

構える(Set upする)のが遅れる・・・相手が打ったらすぐに打つ態勢に入る(パート I  のストロークの基本1をご参照下さい)ということですが、これは気を付ける以外に解決法はないようです。 

フォアハンドのトップスピンが手打ちになる・・・これはかなり個人的なくせですが、学生さんのストロークを見ていると、みなさんインパクトの後に十分にフォロースルーをしていらっしゃるようです。今回は、エリック・ハカン・コーチから、ひじを肩の高さまで上げるように言われました。これまでは、ラケットを持ち上げることばかりに気を取られてひじのことには気が付きませんでした。また、硬式庭球部の主将で前回の全日本学生室内選手権大会のシングルスで優勝された、石神 理貴さんからは、顔の前にひじがきて、目の前にひじを見る感じで十分にフォロースルーするようにと指摘されました。このほかに、バックスイングを十分にしておくこと、インサイド・アウトで(からだの近くから、遠くにラケットを放り投げるような感じ)でスゥイングすること、左手をボールと同じ高さくらいに差し出して、フォロースルーのときには、左手はだらっと下げないで、右手と握手する感じで高く保つことなども必要と考えられます。

・バックハンドのトップスピンで体が開いてしまう・・・体が開くというのは、ラケットのスイングに伴って体が前を向いてしまうことですが、片手打ちのバックハンドの場合は、左手を後ろに引くことと、スイングをからだの前方で止め、身体の右側まで行かないようにすることと、打つ前に十分に肩を入れることで、体が開くのを防ぐことができるというわけですが、これもなかなか実際には難しい技術のような気がします。

また、今回コーチをしていただいた部員の皆さまのバックハンドのほとんどが、両手打ちだったのはちょっと印象的でした。最近プロの世界でも、片手打ちのサンプラスがあまり元気がなく、両手打ちのアガシが元気なのも関係しているのかも知れません。また同じ筋力の人が打った場合には、片手打ちよりも両手打ちの方が速いボールが打てるような気がします。

・ボレーでラケットを振ってしまう・・・ボレーについては、ボールの高さにラケットを構えて、インパクト、フォロースルーともに同じ高さにすることが大切だそうです。私の場合には、フォアのハイボレーで、ラケットをいくらか「ハエたたき」のように振ってしまうくせがあると言われました。これは、前にも言われたことで、自分では十分注意していたのですが、やはり元に戻ってしまったのかも知れません。

(2)威力のあるボレーを打つためには・・ボレーといえば、主将の石神 理貴さんから、威力のあるボレーの打ち方のこつを一つ教えていただきました。ボレーを打つときには、ひじをリラックスさせて、体との間に隙間を保つことに注意すると、威力のあるボールが打てるようです。

私はこれまでボレーの威力がないのが不満だったのですが、石神さんのお話によれば、私の場合にはひじを伸ばして固定して、しかも体に付けていたことが威力のない一因となっていたようです。ボレーでは、手首を固定するのが基本ですが、ひじは最初はリラックスさせておいた方がいいようです。

スイングを始めるときには、ひじを軽く曲げて、体から少し離して(ボールと同じ高さで)構えて、インパクトの時点でもひじが伸びきらないように注意して、フォロースルーで(ボールと同じ高さで)前に押し出すと威力が出るようです。インパクトの後のフォロースルーで、ひじを伸ばしながら前に押し出すことによって、威力が出るようです。インパクトの前からひじが伸びきっていたのではこの「押し出し」ができないようです。

(3)スマッシュとサーブでは打つ前にバンザイをするとうまくいく・・・石神さんに指摘されたもう一つの改善点は、スマッシュのときにラケットを持った右手を一度十分に持ち上げてから打つほうがいいという点です。スマッシュというと、左手でボールを指さすことばかりに注意が向いて、私の場合には、右手が十分に上がっていなかったために、うまく打てなかったようです。打つ前に十分に右手も上げて、バンザイをする感じにすると、はるかに確実にスマッシュが打てるようになりました。

10年くらい前に、東京都西部の高井戸にある、高井戸ダイヤモンドテニスクラブのスクールに通っていたことがありました。当時は、全日本選手権シングルスに3回優勝し、1963年のウインブルドンのシングルスで3回戦に進出した、石黒 修(おさむ)さん(というよりも、若い人には、俳優の石黒賢さんの父上と言った方が分かりやすいかも知れません)がヘッドコーチをされていて、2カ月間のレッスンのうち1回だけ、石黒さんがコーチをして下さるという日がありました。そのときに、サーブについて、やはり、一度バンザイの姿勢をとるといいと石黒さんから言われた経験がありました。その教えに従ったところ、サーブが以前より格段にうまくなった気がしました。たったひとことことでしたが、すばらしい戦績を残された方は、フォームを一目見ただけで、すぐに問題点が分かるという点に驚かされました。

今回のテニスクリニックでも、堀内監督が各グループを回ってひとことずつアドバイスをされていましたが、私のサーブについては(ネットしたにもかかわらず)「フォームが出来ているから大丈夫だ」言ってい下さいました。監督から、おほめの言葉をいただくことができて、長年テニスをやってきて良かったと思いました。

亜細亜大学の「1日テニスクリニック」は、一般プレイヤーが、一流の監督や選手の方々からアドバイスを受けることができる、ほかでは得難い機会ですから、テニスをうまくなりたい方は、ぜひ次回から参加されることをお勧めします。

これが当日の写真です。後列左端が堀内監督で、後列の左から4人目がエリック・ハカーンコーチです。ほとんどの学生さんは白いウエアを着ていました。この写真からも、受講者とコーチが同数程度いることが分かると思います
(2000年3月15日)。

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