テニスがうまくなりたい方に(パートV)・・・国会議員になるってマジっすか、コーチ?

去年春にあるテニスサークルでお知り合いになった、杉村太蔵氏は国体少年の部で全国優勝したことがあり、しかもテニスを個人的に教えていただけるとのことでしたので、それ以来、月に1回くらいのペースでかみさんと二人でレッスンしていただくことにしました(すでに、2004年7月に掲載した「アイルランドの禁煙事情と当日券でセンターコートに入れた話」でも一度ご登場いただいています)。

ところが、その杉村氏が(2005年)9月11日の衆議院議員選挙で南関東ブロックの自民党候補として出馬して、見事当選されました。これには、本当に驚かされました。「棚ぼた当選」などと皮肉っている新聞もあり、ご本人も全く予想外だとおっしゃっているようですが、当選したらこっちのもの。ご活躍をお祈りしております(といっても、小泉氏が公約通り、自民党をぶちこわすのを支援していただきたいと期待しているという意味です)。個人的には、もうコーチしていただけそうもないのは残念です。この機会に杉村コーチにこれまで教えていただいたことを皆様にもご紹介します。

コーチしていただいて感心したのは、ご指摘していただいた点を修正すると、不思議と上達する(と感じられる)点です。一番効果があったのは、サービスの安定性が増したことで、教えていただいて以来、ダブルフォールトは10回に1回以下になった気がします。一流のプレイヤーの指摘は、非常に役に立つことが多いという点は、(パートIII)の最後でも指摘しましたが、杉村コーチの場合も例外ではありませんでした。

まず、第1回目のレッスンのあとにいただいたメールをご紹介します。生徒が習ったことを忘れないために、メールを下さったコーチは杉村コーチが初めてでした。


土曜日の練習で気付いたこと、それから今後の課題や指導方針などを毎回まとめて練習日誌というスタイルで配信しております。ご一読賜れば幸いです。なお、ご質問などがございましたら、ご遠慮なくお申し付けください。

XX月XX日(土曜日)In 松戸テニス倶楽部 17:00〜20:00

小倉 正孝 選手(No.3001:XXXXXXチーム)

全てのショットのミスの原因に挙げられることは、ボールを打つ瞬間にボールから目が離れてしまっていることです。具体的にどこを見ているか?例えば、ご自分が打ちたいコースを見てしまっていたり、相手選手の動きを見てしまっています。ボールから目が離れますと、どうしてもラケットの真ん中(スイートスポット)でボールを捉えることが難しくなります。結果、微妙なコントロールミスが生じやすくなってしまいます。特に気をつけていただきたいショットの1位はボレー、2位はフォアハンドストロークです。今回はナイターであったこともありボレーは特にボールを見ないとうまく返球することが難しくなります。ちなみに、小倉さん・○○組VS杉村・□□組でダブルスをしたとき、ぼくも同じ原因でフォアボレーをネットにかけてしまいました。あれは完全にボールを見ていなかったことが原因でミスにつながりました。ボレーとフォアハンドストロークを打つときは意識をしてボールを見ることを心がけてください。

次に、サービスに関してアドバイスがあります。次回、コートで詳しくお話しますが、この練習日誌で少しでもイメージが持てればいいなと思います。まず問題はトスアップが高すぎることです。トスが高すぎることには以下の4点でリスクがあります。1) 打つ前に時間がありすぎて、余計な力が入ってしまう 、2)視線が上下に激しく動くので、相手のレシーブに対する対処が難しくなる、3) 強風時に適当な打点で打つことが難しくなる、 4) トスアップの高さにバラツキがでるため常時安定したサービスが打てなくなる。以上のことから、結果、プレッシャーのかかった場面でサービスが入らなくるといった状態に陥りやすくなります。さらに、サービスが入らなくなると、サービスだけに神経がいって、次のストロークやボレーまでミスしてしまうということになります。こうなったら最悪です。試合どころではなくなってしまいます。残す年内の大きな目標として安定したサービスを身につけることを掲げたいと思います。・・・以下省略・・・

小倉 ○○○ 選手(No.3002:XXXXXXチーム)〔かみさんの分です〕

○○○さんのテニスで今、特に意識していただきたいことは2点あります。1点目は打ったら構えることです。2点目はボールを見ることです。どれも基本的なことですが、逆にこの2点をしっかりと意識してコートに立つことができたら、少なくても今より格段にミスショットが減ります。そして、技術向上の速度が高まります。特に1点目の打ったら構えるという習慣はとても重要です。○○○さんの場合、自分が打ったショットを「入るかな?ネットかな?ちょっと大きいかな?右にそれたかな?」という具合にボールの行方をのんびり眺めてしまう癖があります。結果、@次の動作が遅れる、A慌てる、B ミスをする、という悪循環です。打ったら素早く次の返球に対して構えて待っている習慣が身につけば、@ 次の動作が早くなる、A 落ち着ける、B ミスが減る、という循環になります。そうなればたくさんラリーも続けることもできるし、結果として技術向上の速度も高まるわけです。

次に、ボールを見るという習慣も身につけていただきたいと思います。特に意識していただきたいことは、ボールを打つ瞬間です。例えばグランドストロークを打つとき、、ベースライン上から打つ場面を思い出してください。ボールがサービスライン上に落ちた瞬間、無意識のうちに相手選手を見てしまっていたり、ご自分が打ちたいコースを見てしまってはいませんか?これは無意識になさっていることですから、あまり記憶されていないかもしれません。しかし、ご自分ではまったく狙っていないコースにボールが飛んで行ってしまう場合などはこのように打つ瞬間に視線がそれている可能性が十分に考えられます。ですから、よくボールを見ることを心がけてください。・・・以下省略・・・

杉村 太蔵の熱血テニス塾
塾長
杉村 太蔵


わたしもかみさんも、ボールをよく見る必要があることを指摘されています。基本中の基本とも言える注意事項ですが、ご指摘のように、普段この点がおろそかになっていたようです。ボールが思う方向に飛ばない時とか、ラケットの真ん中(スイートスポット)に当たらないため威力のあるボールが打てない場合には、ボールをよく見ると改善される場合が多いことが分かりました。正しいフォームで打つことに気を取られていて、ボールをよく見ることがおろそかになっていたのかもしれません。

サービスの三つのこつ

教えていただいたことのうちで、一番役に立ったのが、サービスについてのご指摘でした。教えていただくまでのわたしのサービスは、やや安定性に欠けるという欠点がありました。杉村コーチは、(1)トスが高すぎる、(2)スライス気味に打った方が安定する、(3)地面にボール3回くらい突いたあと、相手の方をちょっと見てから動作に入る方がいいという三つの点を指摘されました。これらのご指摘に気を付けてサービスをすると、これまでよりダブルフォールトになる確率がかなり下がったようです。そのため、サービス・ゲームをキープできる確率が高まったと思います。

(1)トスが高すぎる ・・・ トスが高いことの問題点(メールで指摘されている4点)を指摘されたのは初めてでした。そういえば、昔はシュテフィー・グラフのように、トスを非常に高く上げるプロ・テニス・プレイヤーがいましたが、いまはどのプレイヤーのトスも低くなりました。トスの低いサービスのことを、昔はクイック・モーション・サービスと言いましたが、今では、クイック・モーションが主流になっているようです。テニス雑誌などを見ると、最適なトスの高さは打点の30-50cm上と書いてありました。ただ、実感としては、打点と同じくらいの高さにトスするとうまく行くような気がします。

(2)スライス気味に打った方が安定する ・・・ 杉村コーチに教えていただくまでは、ファースト・サービスはフラット気味のトップスピン・サービス、セカンド・サービスはスピン・サービスと決めていました。ご存知のように、トップスピン・サービス、フラット・サービスは、真後ろから見て、体のやや前方真上(時計の12時の方向)にボールをトスします。これに対して、ボールに横方法の回転をかけるスライス・サービスの場合には、(右ききの場合)2時の方向にトスするようです。杉村コーチのアドバイスは、トスをこの中間くらい(1時の方向)にした方がいいとのことでした。この方向にトスすると、腹筋や背筋にあまり負担がかからず、楽に打てるようになりました。

その後、『テニス・クラシック』という雑誌に、このサービス(「フラットスライスサーブ」というようです)のことが載っている記事(2005年5月号、38―45ページの「意外に決まるフラットスライスサーブ」、著者は荏原湘南スポーツセンタークリニック(スクール)部門責任者の阿部宏和氏)を見つけましたので、その一部をご紹介します。このサービスは、最近ではプロの間でも主流になっていて、女子ではシャラポアが代表的で、男子では、デュース・コート(ネットに向かって右側)からワイドに打つ際にほとんどの選手が使用しているそうです。特徴としては、トスの位置以外には、(1)手首の内転(プロネーション)のタイミングをフラット・サービスよりも遅らせる、(2)体を左右にひねる動作は使わない、(3)ワインド・アップでは肘の角度を90度程度にする、(4)ボールの右半分を捕らえるようにするなどです。そう言われてから、ほとんどのプロ選手がこの打ち方をしていることに気が付きました。

(3)地面にボール3回くらい突いたあと、相手の方をちょっと見てから動作に入る ・・・ テレビなどでプロの試合を見ると、サービスの前にどの選手も必ずこの動作をしているのが分かると思います。これに対して、アマチュア・プレイヤーの場合には、いきなりサービスの動作に入る人がほとんどで、ボールを突く動作を律儀にしている人は少数派だと思います。これはスクールなどでも、あまりこの動作の重要性を指摘していないためだと思います。プロがこの動作を律儀に行っているのには、二つの理由があるのではないかと思います(単なる素人考えですので悪しからず)。

第一は、右利きの場合、トスは左手で上げますが、普段左手は微妙な力加減を必要とするような機会がないことが、トスがうまく上げられない原因の一つになっているのではないかと思います。トスを上げる前に、ボールを突くのは、左手のウォームアップになっているのではないかという気がします。地面にボールを突くことによって、力加減の感じをつかむことができるのではないかと思います。トスを高く上げていたときには、わたしはトスのやり直しの常習犯でしたが、トスを低くしたことと、トスを上げる前にボールを地面に突く動作を入れることによって、以前よりもはるかにトスが安定して、やり直しはあまり必要なくなりました。

第二は、試合の時には、プレーがうまく行かなくなると、サーブの動作も、あわただしくなり、急いで打ってしまうために、ダブルフォールトになるということが、わたしの場合にはよくありました。この動作を入れることによって、ある程度、気分を落ち着かせることができるようです。

最後に、杉村コーチのメールは、無断で掲載させていただきましたことをお断りしておきます。テレビで拝見しますと、コーチは当選してから、秘書を6人とスタイリストも採用され、分刻みのスケジュールをこなされていて、テニスどころではないとご推察申しあげられ、しかもメールは政治生命に関係するような内容ではないため、お許しいただけると確信して掲載させていただきました、悪しからず。

付録:日本の国会議員の給料は世界一・・・でもこれは序の口

日本の国会議員の年収は世界最高だということが、マキトの若者応援blog:【ヘッドライン】日本の議員歳費は世界一高い!! ( http://blog.goo.ne.jp/goo1234makito/e/30ca534a17a1b561bba2b3f2700a9e30 )に載っていましたので、テニスとは関係ありませんがご紹介します。どうもコーチは、一夜にして大金持ちになったようです。

まず、給料(「議員歳費」と呼ばれます)はボーナスを含めると年額2,400万円です。これは、アメリカの2,000万円足らず、英、独、仏の1,000万円前後を上回り、ギネス認定の世界一だそうです。つぶれかかっているため、「改革」が叫ばれている国の国会議員の給料が世界一だというのは驚くべきことですが、まだこれは序の口です。

このほかに、「文書交通通信滞在費」という名目で、年間1,200万円(経費なので非課税)が支給されます。ただ、「文書交通通信滞在費」には都心への滞在費は含まれておらず、議員は 家賃わずか4万円前後で、都心の一等地に2-3LDK約25坪の部屋(スポーツ・ジムやレストランも併設されている)が確保され、議事堂近くの議員会館に約40平米の事務所も割り当てられるそうです。さらに、「文書交通通信滞在費」には、JRの運賃や国内航空料金も含まれておらず、選挙区へのJRパスや航空券が無料で支給されるそうです。さらに、出張の際には、2万円の旅費、海外視察には最高170万円までが、おまけに、海外旅行については、個人渡航の場合でも、往復の航空券が支給されるそうです。まさに、至れり尽くせりです。

さらに、秘書を3人まで公費で雇うことができ、そのため年間3,000万円まで支給されます。秘書を3人雇った場合の、議員1人が自分のために使えるお金は、年間6,600万円となります。このほかに、各政党に対して支払われる、立法事務費(議員1人当たり)年間780万円、政党助成金(同約4,300万円)を加えると、実に1億1,680万円となります。このほか、直接税金が使われているわけではありませんが、一般市民が都心で、議員並みマンションとオフィスを借りた場合との家賃の差額が1,000万円くらいと推定されます。

これは、衆議院議員480人と参議院議員242人の合計722人についてのお話ですが、もっと大きな話をすれば、96万人の国家公務員と308万人の地方公務員の平均年収が1,000万円近くと、サラリーマンの平均年収450万円の倍以上もあり、しかも、公務員は身分が保障されているため雇用保険を支払う必要がなく、年金についても、年収に対する比率が民間よりも0.8―1.6%も低い保険料を払っているにもかかわらず、民間よりも2割も高い年金を受け取れるというおかしなことになっています。

真っ先に「改革」が必要なのは、議員やお役人に対する、こんなばかばかしい優遇だと思いますが、地滑り的な国民の支持があるため、議員歳費や公務員の優遇が改革されることはなさそうです。逆に、選挙直後には待っていましたとばかりに、谷垣財務大臣が大増税の計画を明らかにしました。政治家、役人の優遇は「聖域」扱いして、金が足りなくなったら、福祉予算を削って、大増税するという流れに変化はないようです(2005年9月17日)。

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