ゴールウェイ港の白鳥

2004年6月に訪問した、アイルランド西部のゴールウェイの港にいた白鳥です。港の中にこんなにたくさんの白鳥がいるとは驚きでした。しかし、帰ってから旅行案内書をみると、アイルランドでは、ちょっと大きな川や池に行くと白鳥に出会えると書いてありました。残念ながら、私の場合、アイルランドで白鳥にお目にかかれたのはここでだけでした。

ゴールウェイを訪問したのは、「ジャック・ブレルについてのトークショーが開催されました」の最後でご紹介した、20世紀最大の小説家の一人である、ジェームズ・ジョイスにとってゴールウェイは重要な意味を持った場所だからです。代表作『ユリシーズ』の主人公、レオポルド・ブルームの妻、モリー・ブルームのモデルになっているとみられるジョイスの妻、ノラはゴールウェイ出身です。ノラがゴールウェイで住んでいた家が、「ノラの家(The Nora Barnacle House Museum)」という小さな博物館として公開されています。さらに、ジョイスの短編集、『ダブリン市民』に収載されている短編「死者たち」の主人公、ゲイブリエルの妻、グレタがやはりゴールウェイ出身という設定になっています。グレタがまだゴールウェイにいた頃の恋人、マイケル・フュアリーが彼女によく歌ってくれた、「オクリムの乙女(The Lass of Aughrim)」という歌が、この短編で重要な意味を持っていたことなどを考えると、ジョイスにとって、ゴールウェイはダブリンに次いで重要な街という気がします。

2011年7月22日追記:『ユリシーズ』については、「最近気付いたこと」「『ブルームズデイ 100』をのぞいてきました」をご参照ください。

下の写真が「ノラの家」です。ネズミ色の建物の向かって右半分(青いドア、鉢植えの置いてある窓の部分)が博物館で、間口は5メートルくらい、奥行きも5メートルくらいです。ノラが住んでいた100年以上前には、水道、トイレ、風呂、(当たり前ですが)電気はないという、非常に貧しい家だったようです。恐らく、博物館としては、世界で一番小さいのではないかという気がします。

博物館の方によれば、ジョイスはたびたびノラの実家を訪問したそうです。「オクリムの乙女(The Lass of Aughrim)」という歌を、一階の居間で、ノラの母親が、ジョイスのために歌ったこともあったそうですが、この歌をジョイスが聞いたのはこのときが初めてだったそうです(そのことが書かれたジョイスの手紙のコピーが壁に展示されていました)。内部は撮影禁止でしたが、1階の部屋の内部は、The Nora Barnacle House Museum ( http://www.norabarnacle.com/aboutus.htm ) の最初のページに載っています。2階の部屋の内部は、この博物館で買った絵はがきを下にコピーしました。この2階建て、2部屋の家に、一家族全員が住んでいたそうです(夫婦には子供が6人もいたそうですが、同時期に全員が住んでいたかどうかは分かりません)。

ゴールウェイ(Galway)は、人口5万7,000人と小さな町で、下の写真のように、ダブリンではあまり見かけなかった、カラフルな家が並ぶ一角もありました。この町の名前は、アイルランド語(ゲール語の一種)で、アウトサイダー、外国人を意味する、gaillが語源となっているようです。この町は、10世紀ころに英国に移住した、スカンジナビア半島を起源とするアングロ・ノルマン人が、アイルランドに渡って、13世紀に築いた城塞都市が起源で、その後イギリスのリチャード2世が、イギリスまたはノルマン人が大半を占める、14家族の商人に、この地域の支配権を認めたことから、アイルランドのほかの地域とは異なる文化を持っているようです。16世紀には、町の西の城門には、アイルランド人に多い名前である、"O"や"Mac"で始まる名前の者の立ち入りを禁止するという看板を掲げた時期もあったそうです。

イギリスの食べ物が一般にあまりいただけないというのは、よく知られた話ですが、ロンドンに7年間在住されていた蓮見さん(サンクトペテルブルグ見聞記ダッハウ収容所見学記にもご登場いただきました)は、アイルランドの食べ物はなんでもおいしく、特に日本人の口に合うようだとおっしゃっていました。アイルランドでは、安い値段の食べ物でも、それなりにおいしかった気がします。アイルランドとイギリスを回った今回の旅行中に食べたもので、最悪だったのは、ウィンブルドンの売店で買ったぱさぱさのサンドイッチでしたが、最高だったのが、あまり安いとは言えませんが、ゴールウェイのコンロンズ・シーフード・レストラン(Conlon's Seafood Restaurant, Licensed Salmon Dealer, tel: 091-562268、Eglinton Street、郵便局の筋向かいです、http://www.galway.net/pages/conlons/ )のランチメニューに入っていた、スモークド・マッカレル・サラダ (Smoked Mackeral Salad: さばを軽く燻製〔くんせい〕にして、焼いたものに野菜サラダが添えられている、9.9ユーロ、現在のレート137円で換算すると、1,360円)でした。あっさりとした味付けで、日本の飲み屋で出てきても人気が出そうなメニューだと思いました。これがおいしかったため、翌日はディナーも奮発しましたところ、やはり満足の行く料理でした。カウンターで、ご主人のレイさんにお金を払うと、きのうも来ましたねと、前日も来たことを覚えていてくださいました。魚のスープやカキなど、ワインを含めて、なんでもすごくおいしかったので、帰ったら、ホームページで宣伝しましょうと申し上げると、メニューをくださいましたので、下にコピーしました。すぐ下の写真は、ディナーのあとで、夜の10時頃に撮ったものです。







コンロンズ

シーフード・レストラン

オイスター・バー




メニュー

スターター(オードブル)

・フレンチ・オニオン・スープ
・本日のスープとロールパン
・シーフード・チャウダー(ハマグリ,魚肉にジャガイモ,タマネギなどを加えて煮込んだ実の多いスープ)、黒パン添え
・イガイ(フランス料理のムールー貝)のガーリック・バター炒め、黒パン添え
・スモークド・サーモンのオードブル、黒パン添え
・ガーリック・ブレッド、同チーズ添え
・ミックスド・ハウス・サラダ
・マッシュルームのガーリック炒めと付け合わせ

本日のフレッシュ・フィッシュ・アンド・チップス(タラなどの魚のフライと棒状のチップス(ポテトフライ)の盛り合わせ、英国の大衆料理)
本日のお勧めと価格はボードをご覧ください

シーフード・サラダ・バー

・コンロン・フィッシャーマンズ・プラッター・・・イガイ(ムールー貝)、中エビ(prawn、ちなみに小エビはshrimp)、スモークド・サーモン、スモークド・マッカレル(さばを軽く燻製にして、焼いたもの)、カキ(牡蠣)、イカ、新鮮な魚のグージョン(フライの一種)、かにのはさみ(入荷次第)

・ナラ材によるスモークド・サーモン・プレート、サラダ添え
・ゴールウェー湾中エビ、マリー・ローズ・ソース
・ホット・スモークド・マッカレル・サラダ(さばを軽く燻製(くんせい)にして、焼いたもの、野菜サラダ添え)
・フレッシュ・アトランティック・ロブスター(伊勢エビ)サラダ(入荷次第)、今日の価格についてはボードをごらんください
・オムレツ・バー・・・スモークド・サーモンまたはトマトとチーズまたはマッシュルームからお選びください。サラダまたはチップス(ポテトフライ)添え
・イガイ(ムールー貝)のガーリック・バター炒め、ライス添え

ハウス・スペシャルズ

・アンコウの尾の炒め物、ガーリック・クリーム・ソース、ターメリック(ウコン)・ライス添え
・新鮮なイカの炒め物、黒豆ソース、ライス添え


・極上のたらの新鮮な切り身のピリピリ(非常に辛いチリソースース)がけ、チリとレモンのマーマレード、季節の野菜添え
・新鮮なアトランティック・サーモンの焼き物、季節の野菜添え
・コンロンズ・スキャンピ(エビを油またはバターとニンニクで焼いた[炒(いた)めた]料理)・スペシャル、サラダまたはチップス(ポテトフライ)添え
・中エビのカレー炒め、ライスとポップードム(下に説明があります)添え
・極上のヒレ・ステーキ、オニオンフライ、マッシュルーム、チップス(ポテトフライ)添え
・白身魚の盛り合わせグージョン(フライの一種)、甘酢ソース、ピラフ添え

今晩のスペシャルズについてはボードをごらんください

フレッシュ・オイスター・バー

・天然物のカキ・・・6個、12個
・カキのモーネイ(チーズ・ソース)
・カキのオリエンタル風(カキと黒豆ソース)
・カキフライ(バター添え)
・生ガキ・・・6個、12個

サイド・オーダー

・伝統のチップス(ポテトフライ)
・ベークト・ポテト(焼きじゃが)
・季節の野菜
・やわらかく煮たえんどう
・カレーソース
・ガーリック・ディップ
・オニオン・リング


デザート

・アップル・クランブル(とろ火で煮込んだ果物の上に小麦粉,油,砂糖を混ぜ合わせたものを載せて焼いたプディング)、カスタード添え
・バナッフィー・ケーキ(バナナをアメでコートしたのが、バナナトッフィー、bannana toffee、この合成語が、Bannoffee)、クリーム添え
・本日のチーズ・ケーキ、クリーム添え
・アイスクリーム各種
・バナナスプリット(ケーキの一種、縦に切ったバナナの上にアイスクリームを載せて果物またはシロップ,生クリーム,ナッツなどを掛けたもの)
・トライフル(スポンジケーキにジャムを塗り,シェリー酒またはワインをたっぷり振りかけて器に入れ,カスタードソースをかけて冷やし,生クリームを添えたデザート)
・ゼリーとアイスクリーム

飲み物

・ティー(ポット入り)1人分、2人分
・コーヒー、カプチーノ、エスプレッソ
・ソフトドリンク
・ミルク
・ミネラル・ウォーター
・オレンジ・ジュース
・ワイン(1/4ボトル) - (ワインリストをご覧ください)





上記価格は税込み
コンロンズではサービス料はいただきません
(つまり、支払額はメニューの金額の合計でいいことになります。テーブルではなく、カウンターで支払うようです)



本日のフレッシュ・フィッシュ・アンド・チップス(タラなどの魚のフライと棒状のチップス(ポテトフライ)(チップス、英国の大衆料理)


・タラ(cod)とチップス
・カレイ(plaice)とチップス
・キス(whiting)とチップス
・こだら(haddock)とチップス
・いか(squid)とチップス
・スモークド・ハドック(こだらを軽く薫製にして焼いたもの)
・スモークド・マッカレル(さばを軽く薫製にして焼いたもの)
・スキャンピ(エビを油またはバターとニンニクで焼いた[炒(いた)めた]イタリヤ料理)とチップス
・レモン・ソール(カレイの一種)とチップス
・メルルーサ(たらの一種)とチップス

全部のメニューにレモンとタルタル・ソースが付きます

本日のお勧めについてはボードをごらんください。







新鮮なエビ・かにの類

フレッシュ・ロブスター(伊勢エビ・一尾)
網焼き
季節のサラダ添え


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地物の新鮮なカキ

6個、12個

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新鮮なイガイ(ムールー貝)
のガーリック・バター炒め

ゴールウェイには、評判のシーフードレストランが2店あり、「ノラの家」博物館の案内の方は、シーフードならMcDonagh'sがいいとおっしゃっていましたので、そちらものぞいてみましたが、観光客でごった返していて、行列もできていたため、なんとなく観光客向けという感じがしました。コンロンズの方は、お客さんの半分くらいが地元の方という感じで、老人や赤ちゃん連れの方もいらっしゃっていました。ご主人のレイさんや、ウェイトレスのジェニファーさん(家族経営だそうですので、娘さんかもしれません)は大変好感の持てる方々でした。

最後にlonely planetという旅行案内書に載っていた、コンロンズ・シーフード・レストランの紹介文をご紹介します・・・コンロンズほど、フィッシュ・アンド・チップスをうまく調理するレストランはほかにはない。一番値の張るメニューには、天然物のさけとスモークド・マッカレルがある(2004年10月10日)。


コンロンズ・シーフード・レストランのレイさんからメールをいただきました

このページのハードコピーをコンロンズ・シーフード・レストランのレイさんにお送りすると同時に、(1)スモークド・マッカレルの調理法と、(2)辞書に載っていなかったPoppudoms(PAN FRIED PRAWN CURRYの付け合わせ)とは何かを手紙でお伺いしたところ、お返事をいただくことができましたのでご紹介します。レイさん、メールをどうもありがとうございました。


(翻訳)--- お手紙を今日、11月5日に受け取りました。どうもありがとうございました。あなたと奥様がコンロンズでの食事を満喫されたとのことを、大変うれしく思います。また、アイルランドの滞在も楽しまれたことを祈っています。
インターネットであなたのホームページを見つけ、当店のメニューが翻訳されていてるのをみて、満足しています。写真もすばらしいと思いました。
ご質問にお答えしますが、スモークド・マッカレルについては、ご指摘の通り、最初に薫製にして、そのあと軽く焼いたものです。これは冷たくしても食べることができます。
2番目のご質問のPoppudoms(ポップードム)、 または Puppodums とつづられることもありますが、インドのチェンナイ(Chennai = Madras〔マドラス〕、インドの東部の都市。ベンガル湾に面す。以前の名称はマドラス。チェンナイが昔からの本来の名称。マドラスは英植民地時代に付けられた名称、〔英辞朗による〕)地域のスパイシーなクラッカー(Spiced Cracker)で、アイルランドや英国ではカレー料理といっしょに出されることがよくあります。
上の説明で満足されることを祈っています。さらに質問があれば、ご遠慮なくお申し出ください。また、郵便で新しいメニューをお送りします。
最後に、もう一度手紙に対するお礼を申し上げると同時に、いつかまた当店を訪問していただくのをお待ちしております。

敬具、

レイ・コンロン


(原文)--- Thank you for your letter which we received today, 5th November 2004. I am very pleased that you, Mrs. Ogura enjoyed your visit to Conlons and and I hope you also enjoyed your stay in Ireland.
I found your web page on the internet and was delighted to see our menu translated,the photographs were also very nice.
To answer your questions in regards to the Smoked Mackerel,yes your are correct in saying that the Mackerel is smoked first and then lightly baked,it can also be eaten cold.
Your second question in regards to Poppudoms or Puppodums as they are sometimes spelled ,these are Spiced crackers from the Chennai (Madras) region of India,and are popular with Curries in Ireland and the U.K..
I hope you find these answers satisfactory and if you have any more queries I will be only to happy to answer them for you.
I will send you a copy of our new updated menu in the post.

Thank you once again for your letter and I hope that you will visit us again some day.

Best Regards

Ray Conlon


レイさん、メールどうもありがとうございました。新しいメニューが届きましたら、早速更新させていただきます。
いつかまた、貴店を訪問できることを祈っています。

Dear Ray-san,

Thank you very much for your answer, Ray-san!
I would be pleased to update the Menu, once I receive the newer version.
I hope we will be able to visit your restaurant again.

Regards,
Ogura

(2004年11月14日)。

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