「テニスがうまくなりたい方に」(パート I 、パートII 、パートIII)でご紹介した、亜細亜大学の「1日テニスクリニック」に今年も参加することができました。今年は2月17日に開催されましたが、好天に恵まれて、これまで参加した中では一番暖かかったような気がします。例年通り、午前中はストローク、ボレー、サーブなどの個別技術の指導に充てられ、午後には、最初にゲーム形式の練習が行われました。私は、調子が悪かったのか、もともとへただったためか、ゲーム形式の練習でミスを連発してしまいました。午後2時ころから、参加者の希望によって、フォアハンド・ストローク、バックハンド・ストローク、ボレー、サーブなどの個別の技術についての講習に参加するかまたは、学生さんとゲームがしたい人はゲームをするという時間が設けられました。去年までは、迷わずゲームのグループに加わったのですが、今年は調子が悪かったこともあって、ボレーのグループに加わりました。ボレーのグループは堀内監督がご指導くださったため、ボレーのこつがよく分かったような気がします。ただ、監督にご指導いただいた通りにはまだできないため、これから気を付けながら上達できればと考えております。今回は、学生さんから私が個人的に指摘された点と、堀内監督がご指導くださったボレーのこつをご紹介します。
(1)ストロークでもひじを曲げることが大切・・・フォアハンドストロークについての今年の進歩としては、これまでほとんど毎年指摘されてきた、構えるのが遅れることと、フォロースルーが小さいことを指摘されなかった点でした。その代わり、国吉智規さん(法学部2年)にインパクトのときにひじが伸びている点と、インパクトの位置が後ろ過ぎることを指摘されました。
インパクトの位置については、自分で気を付けてきたのですが、ひじの角度のことは、ボレーについては、パートIIIの「(2)威力のあるボレーを打つためには」でもご紹介しました通り、気を付けていましたが、ストロークについてはほとんど気が付きませんでした。30年以上前に私がテニスを始めた頃には、イースタン・グリップでドライブを打つのが普通で、ひじは伸ばすように指導されていましたが、現在では、ウエスタン・グリップやセミウエスタン・グリップでトップスピンを打つのが主流となり、打点もずいぶん前になり、これがひじを曲げる方がうまく打てるようになったことと関係しているようです。
ひじを曲げた方が力が入ることは、ボクシングのことを考えると分かりやすいのではないでしょうか。サンドバッグにパンチをあびせるときに、ひじが伸びていたら力が入りそうにありません。十分な力をボールに加えるには、力を入れる時点でひじがある程度曲がっている必要があるようです。 インパクトの瞬間の手とラケットの位置を左の図に示しましたが、右上腕(肩からひじまでの部分)、前腕(ひじから手首までの部分)、ラケットを自分の目でみると、ちょうど"Z"を左右逆にしたような形になるそうです。この形は、フォアハンド・ボレーでも同じです。 力を入れるために、もう一つ注意する必要があるのは、ラケットの握り方です。ハンマーのように、前腕の方向とほぼ直角に握るとラケットの先まで、うまく力を伝えることができませんが、指の間を広げて、ラケットの方向を上腕の方向に近付けると、てこの原理で、うまく力を伝えることができるようです。 |
(2)ボレーのこつ
・ボレーについては、ボールの高さにラケットを構えて、インパクト、フォロースルーともに同じ高さにするのが基本という点については、毎回指摘されています。ボレーが相当うまい人でも、ラケットを振り下ろす人がけっこういますが、同じ高さで押し出した方がボールに威力が出てしかも安定するそうです。
・ラケットに仕事をさせる・・・・堀内監督は、ボレーの指導を、ベンチに座りながらボレーをする練習から始められました。これは、ラケットのスイート・スポットにボールが当たれば、ラケットを動かさなくてもボールが飛んでくれる感触をつかむためだそうです。この練習のもう一つのメリットは、無駄な動きを抑えることができるという点だそうです。初心者にボレーをさせれば、ほぼ間違いなくラケットをかなり後ろまで引くようですが、この練習によって、ラケットを大きく引く必要がないという感触をつかむことができたという人がかなりいました。
堀内監督は、速いボールは、ラケットに正確に当てれば、飛んでいってくれるため比較的簡単で、遅いボールの方が難しい面もあるとおっしゃっていました。
・インパクトは身体よりもかなり前・・・フォアハンド・ボレーについては、上の図で示した逆"Z"の構えで、前進しながら打つのが基本のようです。この前進と、曲げたひじを伸ばしながらラケットを押し出すことによって、ボールに力を加えることができるようです。注意する必要があるのは、手首を同じ角度を保つことだそうです。手首の角度を変えると、ボールの方向が不安定になるためだそうです。
・大きな風船を抱えるような形で構える・・・威力のあるボレーの打ち方のこつの一つが、ひじをリラックスさせて、体との間に隙間を保つことであることは、パートIIIでもご紹介しました。
今回も、この点が指摘されました。このようなボレーを可能にする構えは、左の図に示したように、ちょうど大きな風船を抱える感じだそうです。
構えについて、エリック・ホーカン・コーチ(前回まではハカーン・コーチと紹介されていました)が指摘されていたのは、@つま先は内また気味にして、ラケットの長さ程度と非常に広い間隔をとる、Aかかとは地面から離す、B絶えず、小さくステップする(thousand
steps! と強調されていました)という点でした。
・肩は水平に保つ・・・ラケットを水平に動かすためには、肩を水平に保つ必要があるそうです。かなりの上級者でも、前側の肩を下げて、下向きにスイングする人をよく見かけます。
・左右の手を対称かつ水平に動かす・・・フォアハンド・ボレーの場合、左手は開いた状態からいく分閉じた位置で力を入れて止める感じにして、バックハンド・ボレーの場合は、前方に構えたラケットのスロートを握った状態から、インパクトにかけて、水平に後ろに引くことによって、左右のバランスをとるそうです。バックハンド・ボレーでラケットを下向きにスイングする人は、左手を上に持ち上げる傾向があるそうです。
当日の写真です。後列左端が堀内監督で、後列に立っている人の4人目がエリック・ホーカン・コーチです。
1日テニスクリニックも今回で25回目で、私も7―8回参加していると思いますが、毎年いらしている方も結構多いようです。私の場合は、普段見逃している自分の欠点を発見できて、徐々にではありますが、矯正できるという点が非常に役立っています。また、学生の皆さんも、体育会的な肩苦しさを感じさせない明るい方ばかりです。どんなレベルの方でも、楽しいテニス漬けの一日を送ることができるまたとないチャンスですので、テニスが上達したい方には、来年はぜひ参加されますようにお勧めします。
(2001年3月4日)。
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