イギリスのベジタリアン事情についてのメールをいただきました

「サラリーマンがベジタリアンになろうとすると・・・」に「残念ながら、日本人のベジタリアンの友人はいません」と書きましたが、これは誤りでした。翻訳者でイギリス在住の房枝さん(『犬と鬼』についてのメールをいただきました」にもご登場いただきました)が、房枝さんもベジタリアンであること、イギリスには日本人のベジタリアンもけっこういるということをメールで教えてくださいました。房枝さんが『犬と鬼』についてのメールで、ご自分の花粉症(hay fever)が、一種のベジタリアン療法である、マクロバイオティック食養法(この場合、花粉症の季節に、卵と乳製品を避けるだけでいいそうです)を始めてからぴたっと治ったという話をされていたことは覚えていましたが、本格的なベジタリアンだということは知りませんでした。今回のメールでは、さらに、イギリスのベジタリアン事情や、房枝さんが最近翻訳された、ロジャー・ウルガーの本『カルマの心理学・魂の未完のドラマ』(中央アート出版社)のこともご紹介してくださいましたので、お許しを得て公開させていただきます(わたしの勝手な判断で、一部太字にしました)。


ホームページを拝見しましたが、欧米(特にアメリカ)ではベジタリアンは多いですし、日本人のベジタリアンも結構いますよ。(ただ自分たちをベジタリアンと呼んでいないようです。日本人の場合、もともと玄米菜食等、野菜中心の食事をしている人も多いので、わざわざベジタリアン宣言する必要がないのかもしれません。)しかもベジタリアンの中でも卵も乳製品も取らない本格的なベジタリアンであるvegan(引用者追記:ヴィーガンと発音するようです)が増えています。(欧米人のベジタリアンはもっとゆるやかというか中途半端なベジタリアンも結構多くて、肉は食べないが魚は食べるとか、肉も魚も食べないが、乳製品と卵は食べるという人も少なくありません。)

私がやっているマクロバイオティック食養法もveganismの一つですが、マドンナを始め、特に体が資本のハリウッドの俳優には実践者が多いのです。ロンドンにはインド・レストラン以外にもベジタリアン専門のレストランがいくつかありますし、普通のレストランでもたいていベジタリアン用メニューが用意してあります。(おいしくないものが多いですが)(ロンドンのCovent GardenにあるFood for Thoughtは昔から知る人ぞ 知る、 有名なベジタリアン・レストランですが、値段も手ごろなので入るのに行列しなければならず、テーブルも相席です。)ホテルのバイキング式の朝食でもベジタリアン・ソーセージ等を出すところが多くなっていますし、なければ注文することもできます。

ただ一般にベジタリアンは外食を避ける傾向があり、お昼もお弁当を持参しますので、ベジタリアンの数が増えている割にはベジタリアン用のレストランは増えていないそうです。外食だと何が入っているかわからないので自分で作るのが一番安全ですし、ノンベジタリアンが作ったベジタリアン料理はおいしくないのです。(普通の肉料理から肉を除けばベジタリアン料理になると思っているようですが、そうではなく、ベジタリアン料理は最初から材料も作り方も違うのです。)確かにビジネスマンには少ないようで、教師やセラピスト、自由業の人が多いようです。自然食品の店もベジタリアンの利用者が多く、その数もどんどん増えています。(よく知られたチェーンにFresh & Wildがあります。)インド系の人たちは宗教的な理由による場合 が多いので すが、欧米系の場合は環境保護、動物愛護または健康のためにやっている人が多いようです。私は健康のためにやっています。私はベジタリアン歴5年半ですが、私の来英当時(1988年)から、周囲にベジタリアンは珍しくありませんでした。

マクロバイオティックの創始者は桜沢如一という日本人の先生ですが、George Osawaとして、むしろ海外でのほうがよく知られているようです。元をたどれば江戸時代の蘭法医にたどりつくという、起源の古いもので、桜沢先生が明治時代の石塚左玄の文献を掘り起こしてさらに改良を加えたものだそうです。桜沢先生の弟子の久司道夫先生がボストンに渡って欧米に広めたのですが、パリやアムステルダム等ヨーロッパ各地にマクロバイオティックのレストランがありますし、久司先生のKushi Instituteはボストンの他にアムステ ルダムにもあります。マクロバイオティックという名前は古代ギリシア語のmacro(大きな)bio(生命の)tic(方法)を合わせた造語だそうです。 食養法、自然食、玄米菜食等の言い方もするようです。久司先生の弟子の西邨まゆみさんはマドンナのpersonal chefとして知られていますが、まゆみさんのインタビュー記事によると、久司先生はその活動実績を認められてノーベル平和賞の候補にあがったこともあり、マクロバイオティックはアメリカ政府の「国民に推奨する食事法」に認定されたそうです

霊気法ももともと日本で臼井ミカオ先生が創始したものがアメリカに伝えられ、西洋レイキ法となって欧米に広まり、日本に逆輸入されたそうですが、こちらでも西洋医学、西洋科学の限界を感じる人が増え、こうした東洋の伝統的癒しが代替療法として使われることが多くなりました。物質文明に行き詰ったアメリカを中心に、科学万能主義、技術の濫用が生み出した環境破壊や心の荒廃、健康上の問題等に対する反省、反動の動きが強くなりつつあるように感じています。


私が翻訳したロジャー・ウルガーの本『カルマの心理学・魂の未完のドラマ』(中央アート出版社)は前世療法に関する本ですが、前世療法もそうした流れの中で出てきたもののようです。キリスト教にももともと輪廻転生の思想があったのに、後の教会が教義から削ってしまったそうで、東洋思想を学んだ西洋人が、やはり輪廻転生は存在すると考え始めたようです。通常の心理療法では現在の心身の問題の原因を幼児体験に求めるのですが、前世療法ではさらに遡って前世に原因を求めます。具体的な方法としては、目をつぶって瞑想し、セラピストの指示に従ってトランス状態(催眠状態)に入ると、うまく行けば自分の潜在意識(無意識)にコンタクトでき、そこから自分の前世や中間世(死んだ後、生まれ変わるまでいるところ)に行けます。前世に戻って、そこに押し込められた怒りや悲しみという否定的な感情を解放してやることにより、カタルシス(浄化)が起こって、心身の問題が解決されるということです。(ロジャーの本にはたくさんの実例が紹介され、心理学ばかりでなく、哲学、宗教学も修めた彼一流の分析も大変興味深いものです。)私も何度かやってみましたが、私も何度かやってみましたが、慣れるまではなかなかうまく行かず、家でテープを聞きながら練習して、やっと3回目か4回目のセッションで成功し、自分が何度もイギリスで生まれ変わっていたことがわかりました。日本に住んでいる頃から「イギリスに行きたい。」ではなく「イギリスに帰りたい。」と感じていたのが不思議でしたが、やっとその理由がわかりました。その他にも今まで説明のつかなかったことが前世療法のセッションの中でいろいろわかりました。

現代人は科学を盲信するあまり、科学で説明できないものを信じない傾向がありますが、その一方で関西テレビの捏造「科学」データにすっかりだまされたりします。この事件について養老孟司氏がデータ捏造は学界でもよくあることだと言っていますし、ロンドン大学の日本人研究者(基礎医学)も同じことを言っていました。科学を盲信するあまり、目に見えないものを非科学的だとして排除してきたのは間違いなのではないか、という人たちが確実に増えてきています。

このまま行ったら地球は滅びるのではないか、何かを変えていかなければならないのではないか、という危機感を感じている人は結構多いのではないかと思うのですが、その答えの一つが狂い、荒みきった人間の心の革命なのではないかというのが私の考えです。

この辺で止めておきますが、最近は環境保護もとても気になっていて、Green Party(緑の党)に入ろうかどうしようか迷っています。(時間的に可能かどうかわからないので)ドイツや北欧に比べると、イギリスはアメリカの消費文化の影響が大きくて、資本主義が浸透した今は一昔前の日本のように「消費は美徳」という感じで、緑の党もあまり振るわないのですが・・・。(緑の党のスローガンの一つは'Consume less. Share more. Enjoy life.'です!)

Fusae Ingham-Nagasawa (2007年4月4日)


以上が引用です。欧米ではベジタリアンが多いことは知っていましたが、欧米在住の日本人にもベジタリアンはけっこういるとは知りませんでした。日本でベジタリアン宣言するためには、普通の人とは違うことを考える変わった人と見られる覚悟は必要なようです。ほとんどの人の場合、理解の限度を超えているためか、理由を聞かれることもあまりありませんが、宗教の関係でベジタリアンになったのですかと聞かれたことがありました。ただ、わたしのお知り合いの方でも、医者から野菜中心の食事を勧められたため実行しているという方が何人かいらっしゃいました。これらの皆さんも、広い意味での、ベジタリアンに入るのかもしれません。また、「誰でも、年を取ると、自然と野菜中心の食事、つまり、ベジタリアンに近い食事をするようになるもんだよ、あんたがじじいになっただけじゃないの」とご親切に指摘して下さるお知り合いの方もいらっしゃいました。そうだとすれば、少なくとも、ある年代以上の方については、わたしが、ベジタリアンのメリットを大げさに宣伝する必要はないということなのかも知れません。

ベジタリアンになると外食が減るのは確かだと思います。自分で弁当を作るようになるとの話ですが、ベジタリアンのアメリカ人が、日本に出張したときに、成田から有機食品のスーパーに直行して、野菜を買い込み、ホテルの冷蔵庫に入れて、1週間の出張期間中、毎日サラダ・ランチを作って、オフィスに持参したことがあったという話を聞いたことがあります。

マクロバイオティックのレストランは東京にもあるようですが、ご説明を読んでも、いまだに、マクロバイオティックとは何なのかが分かりませんので、研究してみます。また、前世の話というのも、わたしのような理科系には、なかなか理解が難しい面がありますが、時間ができたら、この『カルマの心理学・魂の未完のドラマ』で研究させていただきます。

房枝さん、メールどうもありがとうございました。
ますますご活躍されますように祈っております。
リチャードさんにもよろしくお伝えください(2007年4月14日)

・最初のページに戻る