「KJテレビ」・・・日韓関係についての正確な情報を提供

「KJテレビ」は「一般社団法人KJプロジェクト」が開催している日韓関係に関する専門家による講演会、「日韓記者・市民セミナー」の内容を録画して、誰でも見られるようにしたYou Tubeのチャンネルです。KJは韓国(Korea)、日本(Japan)の略称です。

菅義偉首相、安倍晋三前首相、その後ろ盾ともいえる「日本会議」の影響が大きいために、日本のマスコミは日韓関係について、日本側の一方的な見方ばかりを伝えているような印象を受けます。在日韓国人に対する「ヘイトスピーチ」の横行は、こうした偏向報道が背景となっているのは間違いありません。実際、「国境なき記者団」による報道の自由度ランキングでも日本は世界180カ国中67位と途上国並みとなっています。ちなみに、韓国の順位は42位と米国の44位を上回り、先進国と肩を並べています(2021年)。日本のランキングは21年に前年より1つ下がりましたが、国境なき記者団によると、これは「菅義偉氏は、安倍晋三氏のかつての右腕で、20年9月に首相を引き継いだが、報道の自由をめぐる環境を改善するために何もしてこなかった」ためだそうです。

日本会議をはじめとする右翼勢力が流す一方的な情報の誤りを指摘して、韓国側の見解も伝えることを目的として、裵哲恩(ペー・チョルン)さんが2019年9月に創設されたのが、「一般社団法人KJプロジェクト」です。裵哲恩さんは、在日韓国人の法的地位確立と民生安定、文化向上、国際親善と韓国の発展、北朝鮮との平和統一の実現を目指して活動している「在日本大韓民国民団(略称は「民団」)」で宣伝局長、民団の機関紙である「民団新聞」の編集長を歴任されましたが、定年退職後にこのプロジェクトを立ち上げられました。裵哲恩さんのこれまでの活動は 20.12/5「多文化共生社会実現へ」(民団湘中支部での講演) に紹介されています。

『関東大震災、朝鮮人虐殺の真実』と『関東大震災、朝鮮人虐殺はなかった』はトンデモ・トリック本

「日韓記者・市民セミナー」のセミナーを下に載せましたが、それぞれの項目をクリックすると対応するKJテレビの動画にジャンプします。それぞれの講演は各分野で活躍されている著名な専門家が講師を務められていて、新聞、テレビなどでは報道されていない真実を知ることができます。

例えば、第1回の加藤直樹氏による「関東大震災『朝鮮人虐殺否定』論」反証というセミナーでは、『TRICK トリック「朝鮮人虐殺」をなかったことにしたい人たち』(2019年、ころから株式会社)という加藤氏のご著書に基づいて、工藤美代子氏の『関東大震災、朝鮮人虐殺の真実』(産経新聞出版)とほぼ同じ内容の工藤氏の夫、加藤康夫氏の『関東大震災、朝鮮人虐殺はなかった』とい2冊の本がいかに、意図的にねつ造された情報に基づいているかを徹底的に究明しています。

つまりこの2冊では、(1)「朝鮮人が井戸に毒を入れた」とか「朝鮮人が放火している」ということの根拠をもっぱら震災直後(9月1日から7日まで)の虚報、誤報記事に載っていたことを検証もせずに伝えているそうです。

(2)その後朝鮮人暴動なるものはなかったことが明らかになりましたが、その点についてご夫婦の父上である故池田恒男氏(ベースボールマガジン社創業者)が、故正力松太郎氏(元読売新聞社長)から、正力氏自身が当時の内務大臣であった後藤新平氏から聞いたとされている次のような話を根拠にしています。「正力くん、朝鮮人暴動があったことは事実だし、自分は知らないわけではない。だがな、このまま自警団に任せて力で押し潰せば、彼らとてそのまま引き下がらないだろう。必ず報復がくる。報復の矢先が、万が一にも御上(天皇)に向けられるようなことがあったら、腹を切ったくらいではすまされない。だからここは、自警団には気の毒だが、引いてもらう。ねぎらいはするつもりだがね」。このコメントの一番怪しげなのは、お二人の亡くなられた父上が話したとされた内容なので、確認のしようがないという点で、内容と表現が小説的なのも、いかにもでっち上げたという感じです。また、加藤氏は次のように指摘しています。「後藤新平が朝鮮人暴動を隠蔽しようとしたとか、あるいはそう思わせるようなことをしたとかは全くないわけで、どこからこんなセリフが出てきたんだと思います」。

(3)工藤夫妻は虐殺犠牲者数も、めちゃくちゃな計算で過小評価しています。東京都墨田区の関東大震災朝鮮人犠牲者追悼碑には、虐殺の犠牲者は約6,000人であったとされていて、吉野作造(1878 ~1933、大正時代を中心に活躍した日本の政治学者、思想家。東京帝国大学教授、東京朝日新聞論説委員を歴任。大正デモクラシーの立役者だった。)が朝鮮罹災同胞慰問班から聴いた朝鮮人の被害(注1)によれば、犠牲者は2,613人とされていますが、工藤夫妻は、朝鮮人は被害の大きかった下町に住んでいた人が多く、しかも粗末な家に住んでいたため、地震そのものによる死亡率は20%と一般の日本人の死亡率である1%の20倍であるという仮説に基づいて計算した、地震そのものによる犠牲者数を引くと、虐殺による死者は1,000人程度と推定されるとしています。まさに荒唐無稽の推論と言えます。

トンデモ・トリック本の影響を最も大きく受けたのが小池百合子東京都知事

しかしこのトンデモ・トリック本(2009年と2013年に発行された)の影響はすさまじく、日本会議では憲法を改正して緊急事態条項の必要性の根拠としてこの本を挙げています。自民党の文部科学部会の部会長であった赤池誠章参議院議員は「日本人が根拠のない流言によって多数の無辜の朝鮮人を虐殺したなどとは信じられない、そう思っていたら工藤美代子さんの素晴らしい本に出会った」と書いているそうです。さらに2017年には内閣府・中央防災会議の関東大震災についての報告のうち、朝鮮人虐殺の部分が隠されるという事件が起きました。横浜市の中学校の副読本からは、2016年に「虐殺」という記述そのものが消されてしまいました。さらに、トンデモ・トリック本の影響を最も大きく受けたのが、小池百合子東京都知事で、この本に基づいた自民党の古賀俊昭都議の質問を契機として、人種差別的発言を繰り返している石原慎太郎元都知事でさえ継続していた、朝鮮人追悼式典への追悼文の提出を2017年に取りやめ、2021年9月1日の式典でも5年連続で提出を拒否しました。

日韓友好のためには、正確な情報を両国民が共有することが出発点になると思いますが、その際に日本側の極端な歴史の歪曲、修正主義、つまり日本人の残虐行為をなかったことにしようとする動きが最大の障害になっていると私は思います。多くの方々にとって、日韓関係について正確な情報を得るためにKJテレビを参考にしていただくことが非常に有益だと思います。また、最新の番組をご覧いただけるようにチャンネルに登録されることをお勧めします。さらに、下の一覧で●が付いている番組は内容が文書化されたブックレットが発行されていますので、必要な方はKJプロジェクトにご注文ください(email: cheoleunbae@yahoo.co.jp )。

KJテレビへのリンク(今後も適宜更新します・・最終更新日:2023年12月15日)

KJテレビ・・・・案内画面

●第1回 19.8/3「関東大震災『朝鮮人虐殺否定』」論反証/加藤直樹(作家)、英語字幕版・・・https://youtu.be/LagrBSno8PI

●第2回 19.9/25「よく知らない韓国(人)を知ろう」/権鎔大(経営コンサルタント)

●第3回 19.10/18「特攻隊員として死んだ朝鮮人の慰霊事業」/黒田福美(女優)

●第4回 19.10/26「JOCの不可解な動き」/谷口源太郎(スポーツジャーナリスト)

●第5回 19.11/24「北送事業60年の総括」/菊池嘉晃(ジャーナリスト)

●第6回 19.12/12「韓国ヘイトと対処法」/香山リカ(精神科医)

●第7回 19.12/17「在日2世の数奇な半生」/尹信雄(元民団倉敷支部団長)

●第8回 20.2/10「安倍政権の内政と外交」/小池 晃(日本共産党書記局長)

●第9回 20.2/21「南北韓と韓日関係の展望」/平井久志(ジャーナリスト)

●第10回 20.7/1「虚構の『嫌韓』からの開放」/澤田克己(毎日新聞論説委員)

●第11回 20.7/15「川崎でのヘイトスピーチ攻防」/石橋 学(神奈川新聞記者) 韓国語字幕付き・・・ https://youtu.be/TnQ-Y6hTOsU

●第12回 20.8/5「在米コリアンと日系米人社会」/金真須美(作家・大学講師) 韓国語字幕付き・・・ https://youtu.be/kb8nH8W62go

●第13回 20.8/26「多様性の中の在日コリアン」/金村詩恩(作家・ブロガー)  韓国語字幕付き・・・ https://youtu.be/ZF5FMuyONAo

●第14回 20.9/2「朝日新聞の慰安婦報道と裁判」/北野隆一(朝日新聞編集委員)  韓国語字幕付き・・・ https://youtu.be/Epiv0hnlrz0

●第15回 20.9/16「平行線をたどる徴用工問題」/殷勇基(弁護士)

●第16回 20.10/16「『評伝 孫基禎』上梓とその後」/寺島善一(明治大学名誉教授) 韓国語字幕付き・・・https://www.youtube.com/watch?v=tWwMijHswn8

第17回 20.10/30「復刻版『関東大震災』出版の意義」/高ニ三(出版社代表)

●第18回 20.11/18「キムチが食べられる老人ホーム・故郷の家」/尹 基(理事長)

●第19回 20.11/30「日本学術会議任命拒否問題の背景」/纐纈 厚(明治大学特任教授)  韓国語の字幕付き・・・https://youtu.be/8fFKAHgx-f0

●第20回 20.12/8「差別と偏見の現場取材」/安田浩一(ノンフィクションライター) 韓国語の字幕付き・・・https://youtu.be/1jAsDtydlxY

●第21回 21.4/27『韓国ドラマ食堂』の話」/八田靖史(コリアンフードコラムニスト) 韓国語の字幕付き・・・https://www.youtube.com/watch?v=cGcNEOJvPI8

●第22回 21.7/14「差別実態調査から見るヘイト」/権清志(朝鮮奨学会代表理事) 韓国語の字幕付き・・・https://youtu.be/s6eHRWR0PFw

第23回 21.11/6「『在日』上映と呉監督を語る」/清水千恵子(『在日』スタッフ) 韓国語の字幕付き・・・https://youtu.be/TMjVNr85o8Q

第24回 21.11/19「記憶を拓く 信州・半島・世界」/田中陽介(信濃毎日新聞デスク) 韓国語の字幕付き・・・https://youtu.be/f6Hx1Z0LciA

●第25回 21.12/13「外国人は『害国人』ですか--日本の入管体制を検証する/田中 宏(一橋大学名誉教授) ブックレットの韓国語訳がワールドコリアン紙に掲載されました。https://www.worldkorean.net/news/articleView.html?idxno=45714、韓国語の字幕付き・・・https://youtu.be/sH6HK_qlcEs

●第26回 22.1/14 「歴史事実に介入する政府とつくる会の動向」鈴木敏夫(子どもと教科書全国ネット21事務局長)

●第27回 22. 3/11「在日オペラ歌手が願う日韓関係」 / 田月仙(オペラ歌手)、韓国語の字幕付き・・・https://youtu.be/turJq94MDLc

●第28回 22.3/26 「日韓関係の危機をどう乗り越えるか? - 植民地支配責任のとりかた - 」戸塚悦郎弁護士、韓国語の字幕付き・・・https://www.youtube.com/watch?v=-9ewZoS_XnQ

●第29回 22. 4/16 「参議院選に出馬 誰もが大切にされる社会実現へ」/金泰泳(キム・テヨン、東洋大学教授)・・・ 講演のレジュメと政策を下にコピーしました。

●第30回 22. 5/10 「植民地支配から今日に続く排外主義」山本すみ子(姜徳相聞き書き刊行委員会)

●第31回 22.6/27「絶望から希望を見出す川崎桜本をめぐる物語」金聖雄監督

●第32回 22.7/9 「民族的連帯から見たインターナショナリズム・・・中野重治の朝鮮認識を手がかりに」廣瀬洋一(大阪公立大学客員研究員)

○第33回 22.7/17 「在日コリアン研究40年を振り返る」朴一(大阪市立大学名誉教授)・・・2度の「老いるショック」のために、この日が最後の講演になる覚悟で話されたとのことです。その後、10月17日、10冊目の本『在日という病 生きづらさの当事者研究』(明石書店)を出版されました。教授が書かれた『在日マネー戦争』(講談社+α文庫))は在日の活動がよく分かる非常に面白い本でした。

●第34回 22 8/3 「ヘイトスピーチ・ヘイトクライム根絶に向けて」 師岡康子弁護士

●第35回 22.8/27 「ピアノ、マイアイデンティティ」崔善愛ピアニスト

●第36回 22.9/13 「先生不足」が生んだ学校崩壊の現実」竹村雅夫・藤沢市議会議員

●第37回 22.9/22「政治とカルト宗教の癒着−統一教会とは何か」有田芳生ジャーナリスト

〇第38回 22.10/7「総連と民団の相克77年」竹中明洋(フリーライター)

●第39回 22.10/23「川越唐人揃いパレード18年間の取り組み」江藤善章(実行委代表)

●第40回 22.11/4「浅川伯教・巧兄弟への敬愛と感謝」河正雄(私塾清里銀河塾塾長)

●第41回 22.12/14「キムはなぜ裁かれたのか-BC級戦争裁判」内海愛子 (同進会を応援する会代表)

〇第42回 23. 1/19「朝鮮半島取材30年、現場で見た南と北」城内康伸(東京新聞編集委員)

〇第43回 23. .2/10「障害福祉の課題」金重政玉(元内閣府障がい者制度改革推進会議政策企画調査官)

〇第44回 23. 3/11 「朝鮮通信使ソウル~東京ウオークの意義」遠藤靖夫(21世紀の朝鮮通信使友情ウオークの会会長)

〇第45回 23. 4/19「旧世代とは一味違う在日3世の生き方」姜龍一(作家)

〇第46回 23.5/15 「東洋医学の日韓交流-韓国伝統の『気』」 裵晙映・針灸師

●第47回 23.5/31 「在日へのまなざし100年前と変わったか」 深沢潮・小説家 BL14号


〇第48回 23.6/24 「反ヘイトのロードマップを考える」 金展克・支部事務部長

〇第49回 23.7/29 「尹東柱テーマの演劇『星をかすめる風』」 広戸聡・俳優

●第50回 23.8/7 「関東大震災虐殺100年、歴史隠蔽を撃つ」 呉充功・映画監督

〇第51回 23.9/15 「我が演劇人生を語る」 金守珍・新宿梁山泊代表

〇第52回 23.10/7 「アボジ 孫基禎の生き様」 孫正寅・元民団中央局長

〇第53回 23.10/29 「日本と朝鮮半島の話」 羽原清雅・元朝日新聞西部本社代表

〇第54回 23.11/25 「ヘイトをのりこえる多文化共生教育」 風巻 浩・都立大学特任教授

〇第55回 23.11/25 「ヘイトをのりこえる教室②」 金迅野・在日大韓基督教横須賀教会牧師

※番外編 20.12/5「多文化共生社会実現へ」(民団湘中支部での講演)/裵哲恩

※「KJプロジェクトの原点ここにあり」・・・クローズアップKOREAN裵哲恩代表・・・裵哲恩(ペー・チョルン)さんの、韓日相互理解と日本での多文化共生についての思いを語った15年前(当時52歳)のスカパー韓国チャンネルのインタビュー。

※在日学徒義勇軍KBS映像(22.6.6付)・・・1950年の朝鮮動乱(韓国戦争)に救国の思い一つで玄界灘を渡った在日学徒義勇軍640余人  (日本語の部分もありますが、大半が韓国語です。裵哲恩さんのソウル在住のご友人、松川美紀さんの日本語訳はこちら(PDFファイル)です)

注1.吉野作造が朝鮮罹災同胞慰問班から聴いた朝鮮人の被害、大正十二年十月末日までの被害状況wikipediaの関東大震災朝鮮人虐殺事件の項から)

吉野作造が朝鮮罹災同胞慰問班から聴いた朝鮮人の被害、大正十二年十月末日までの被害状況 
一、横浜方向      
1.神奈川県橋本町浅野造船所前広場 虐殺(現金五百円強奪) 四十八
2.神奈川警察署内 巡査刺殺
3.程ヶ谷町 虐殺 三十一
4.井戸ヶ谷町 右同(現金二百円強奪) 三十 余名
5.根岸町 右同 三十五
6.土方橋より八幡橋まで至る 右同 百三
7.中村町 右同
8.山手町埋地 右同
9.御殿町付近 右同 四十 余名
10.山手本町警察署立野交番所前  右同
11.若屋別荘附近 右同 余名
12.新子安町 右同
13.子安町より神奈川駅に至る   右同 百五十九
14.神奈川鉄橋 右同 五百 余名
15.東海道線茅ヶ崎駅前 右同
16.久良岐郡金沢村  右同 十二
17.鶴見町 右同
18.川崎 右同
19.久保町 右同 三十 余名
20.戸部 右同 三十
21.浅間町及浅間山 右同 四十
22.戸山、鴨山 右同 三十
以上屍体埋葬地及数 1.久保山火葬場 千余名(横浜附近被害者)  2.青木町三ツ沢共同墓地 二百名(神奈川附近被殺)  3.金沢村(不詳)  4.茅ヶ崎町旧東海道線路火葬  5.鶴見町、総持寺山内埋葬  6.川崎町当地埋葬又は持って帰国
二、埼玉県方面      
1.川口 虐殺 三十三
2.赤羽荒川 右同 三百
3.大宮 右同 二名
4.熊谷 右同 六十一
5.本庄 右同 八十六[注釈 3]
6.早稲田村 右同 十七
7.神保原 右同 二十四
8.寄居 右同 十四
9.長沢 右同 十四
三、群馬県      
1.藤岡 虐殺 一八
四、千葉県      
1.習志野軍営倉内 虐殺 十二
2.船橋 右同 三十八
3.法典村 右同 六十四
4.千葉市 右同
5.流山 右同
6.南行徳 右同
7.馬橋 右同
8.田中村 右同
9.佐原 右同
10.滑川 右同
11.成田 右同
12.我孫子 右同
五、長野県      
1.軽井沢周辺 虐殺
六、茨城県      
1.筑波本町 虐殺 四十三
2.土浦 右同
七、栃木県      
1.宇都宮 虐殺
2.恵那須郡 右同
八、東京付近      
1.月島 虐殺 三十三
2.亀戸署内 右同 八十七
3.小松町 右同 四十六
4.寺島請地 右同 二十二
5.寺島警察署内 右同 十三
6.向島 右同 三十五
7.寺島手井駅 右同
8.洲崎飛行場附近 右同 二十六
9.日本橋 右同
10.深川西町 右同 十一
11.押上 右同 五十
12.本所区一丁目 右同
13.大島七丁目 右同
14. 大島三丁目活動写真館内 右同 二十六
15.大島八丁目 右同 百五十
16.小松川新町 右同
17.浅草公園内 右同
18.亀戸駅前 右同
19.府中 右同
20.世田ヶ谷、三軒茶屋 右同
21.新宿駅内 右同
22.四谷見附 右同
23.吾妻橋 右同 八十
24.上野公園内 右同 十二
25.千住 右同 十一
26.王子 右同 八十一
右 合計  二千六百十三人 〔東大吉野文庫〕

(2021年9月5日)

〔2022年1月6日追記〕 
第23回目以降のセミナーへのリンクを追加しました。今後も適宜追加していきます。

〔2022年5月8日追記〕 「2022 年参議院選挙 わたしの決意」 金泰泳・東洋大教授の講演レジュメと政策を下にコピーしました。

講演レジュメ

〈生い立ち〉
みなさま、こんにちは。キム テヨン(金 泰泳)と申します。私の父は 1930 年代後半に日本に渡っ てきた 1 世(20 年ほど前に他界)であり、母は日本生まれの 2 世で私はいわば 2.5 世です。1963 年生まれの現在 58 歳です。私は 2009 年に日本国籍を取得した「日本籍の在日韓国・朝鮮人」 「韓国・朝鮮系日本人」です。現在、東洋大学社会学部国際社会学科で教授をしております。専攻 は社会学で、「共生の社会学」「人権・差別問題の社会学」そして「ダイバーシティ論」を教育研究し ております。
私は 18 歳まで日本名で、そして在日韓国・朝鮮人であるということを隠して生活をしてきました。 大学に入り、同じ「在日」の友人たちと出会い、「金泰泳」で生活するようになりました。私の家は経 済的にたいへんきびしい家庭でした。両親は小さな工場を経営しておりましたが、借金借金で両親 の間にもいつも諍いが絶えませんでした。私が小学 6 年生のとき、家には私を修学旅行に行かせ るお金がなく、私は母といっしょに隣家の商店に「お金を貸してくれ」と頭を下げに行ったことをおぼ えています。
周囲の町にはほとんど在日韓国・朝鮮人はおりませんでしたが、私が生まれ育った町にだけ「在 日」がたくさん住んでいました。それは、その町にはかつて大手財閥系金属メーカーの軍需工場が あり、そこに朝鮮人が労働者として徴用されていたという歴史があったからです。最近になって知っ たことですが私が教育を受けた公立中学校の敷地には、戦争中、朝鮮人徴用工の宿舎があったそ うです。しかしそうした歴史教育は一切されず、町には在日韓国・朝鮮人に対する差別意識が充ち 満ちていました。そうした環境の中で私は在日韓国・朝鮮人であることを必死に隠して生活をしてい ました。

〈取り組んできたこと〉
18 歳で大学に入るため大阪に出ました。入った大学には多くの「在日」、また被差別部落出身の 学生、また障がいをもつ学生など様々なマイノリティの人びとがいました。そうした人たちとの出会い の中で私は 18 歳の 9 月から「金泰泳」という名前を使って生活するようになりました。大学在籍中に はいろいろな仕事をしました。新聞を配って奨学金をもらう新聞奨学生の仕事。障がいを持ち、か つ在日韓国・朝鮮人である子どもたちをあずかる学童保育所の指導員。障がいを持つ人たちととも に仕事をする事業所職員。また大阪市生野区のサンダルのメーカーで内職回りの仕事もしました。 そして西成区、いわゆる釜ヶ崎で日雇いの仕事もしました。中にはとてもきびしくて逃げ出すように やめた仕事もありました。しかしそうしたすべての経験がいまの私を形づくっています。どうぞよろし くお願い申し上げます!
また、2021 年 1 月からはネットの署名サイト Change.org で「定住外国籍住民に日本でも地方 参政権を!」の活動を始めました。この署名は 1 月 31 日現在 18,589 名で、2 月上旬に第一次の
提出をおこないます。
かつて民主党政権の頃、地方参政権は実現するかと思われました。しかしそれは実現しません でした。在日外国人は納税など日本で住む上でのすべての義務をはたしているにも関わらず、社 会の制度をつくる側になれません。つくられた制度に従うしかないのです。権利がないということは その社会に責任がないということです。権利があるということはその社会に責任を持つということです。
〈共生社会を実現したい〉
先だっての武蔵野市条例の件においては反対派の人びとが必死になって導入を阻止しようとし ていました。ある自民党議員は、「外国人の住民投票を認めると次には地方参政権を認めなければ いけなくなり、日本人の権利が抑圧されたり浸食される」ということを言っていました。それはおそらく 自分たちが外国籍住民を抑圧しているということを自らわかっているのであり、それが自分たちに報 復をもたらすのではないかという危機意識を持っているのだと思います。
しかしそれは大きな間違いです。共生とは、自分たちの幸福を追求することで他者の幸福を抑圧 することではありません。それは共生でも何でもありません。自分たちの幸福の追求と他者のそれを 両立させるバランスを保つ、それが共生です。
在日外国人が権利を持つことは日本人の権利を侵食したり、日本を壊すことではないのです。 日本を創ることなのです。
社会のマイノリティ(弱者・少数者)の問題はともすれば「弱者救済」と捉えられがちです。しかしそ うではない。社会的マイノリティのための政策はこの国と社会を強く豊かにすることなのです。多様 性をチカラに!単なる「弱者救済」ではなく「社会や国の活力」へ!私はそうした社会をめざしたい と考えています。

政策

定住外国籍住民
• 定住外国籍住民への地方参政権付与を進める
• 外国籍両親の子どもの国籍出生地主義
• 在日外国籍住民の交流・友好のためのネットワークをつくる

国籍制度
• 複数国籍を認める
• 日本の旧植民地出身者およびその子孫の日本国籍確認と届け出制による日本国 籍取得制度を実現する

ジェンダー平等
• 生理用品の恒久的無償化
• 緊急避妊薬(アフターピル)の OTC 化を実現
• 選択的夫婦別姓の導入

セクシュアルマイノリティ
• 同性婚を認める
• 特例法の要件の緩和/変更
• 性別適合手術の保険適応範囲の拡大
• 出生時の性別選択の幅を広げる

差別・ハラスメント
• すべての差別・ハラスメント・いじめ行為の根絶をめざす
• 「部落解放基本法」制定に力を尽くす

脱原発・非核化政策
• 原子力に頼らない再生可能エネルギー政策を推進する
• 憲法 9 条の堅持と北東アジア非核地帯の実現
• 核兵器禁止条約の批准

マイノリティクォータ制
• さまざまなマイノリティ属性の国会議員議席クォータ制を導入する 気候変動問題
• グリーンリカバリー(緑の復興)の考え方を取り入れ政策を進める 沖縄の基地問題
• 日米安保条約・日米地位協定の見直しと沖縄米軍基地の負担軽減 元受刑者の人びと
• 元受刑者の社会的更生・再犯防止に関する政策の立案・実施 「NPO 法人法」の改正
• 「脱政治」化に繋がる「政治的中立性」条項の改正に取り組む 若者支援
• 幼保から大学まで教育費を無償化する
• 塾やスポーツ教室の参加費補助制度の創設
• 安心して仕事を辞められる若者向け失業保険制度の創設
子どもおよび福祉
• 児童相談所の調査権、保護権の強化
• 福祉職・支援職の収入増と社会的地位の向上を図る

教育
• 朝鮮学校の授業料無償化実現に力を尽くす
• 適切な年齢からの主権者教育・市民教育の実施
• 適切な年齢からの適切な内容の性教育の実施
• 子どもたちの将来の選択肢を広げるスキル教育の実施
• 義務教育段階からのアジア言語、ポルトガル語、スペイン語を中心とした第二外国 語教育
• 正の歴史も負の歴史も直視した歴史教育を進める


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