このお店は2022年にできたばかりであるにもかかわらず、2022年12月に発行された『東京最高のレストラン』（（株）ぴあ刊 ）という本に紹介されています。この本によると、このお店のピザは「真のナポリピザ」であるための条件が満たされているようです。その条件とは「直径35cm以下の円形で、生地は柔らかく柔軟性があり、手帳のようにパタンと折り畳むことができる。立ち上がった1～2cmほどの耳（コルニチョーネ、cornicione 額縁という意味もあるそうです）があり、それは均一に膨らみを帯びており、気泡や焼け焦げがなく、キツネ色（薄い茶褐色）でなくてはならない」そうです。
ナポリ出身のピッツァイオーロであるシモーネさんは、叔父様が「ナポリピッツァ職人協会」の副会長をされている関係もあって、16歳のときから修行を続けてこられたそうです。そのため、「コール ア コール」ではシモーネさんの長年の経験に裏打ちされた、こだわりの詰まったナポリビッツアを味わうことができます。
シモーネさんの最大のこだわりは、イタリアから輸入したSTEFANO FERRARA社製の大きな薪窯（Forno professionale per pizza - Legna、下の写真をご参照ください）です。重さが2トンもある大きなものであるため、運び入れるのが大変であったことから、内装工事は窯の搬入後に行ったそうです。この窯の煙突も、日本国内ではFERRARA社に認定された唯一のメーカーの製品が使われたそうです。
窯から出る煙は、煙突から直接屋外に排出するのではなく、水蒸気を使った排気浄化装置（下の写真）を通してから外に排気されています。奥様の春菜（はるな）様によれば、窯自体よりこの排気浄化装置の方が高価だったそうです。薪窯というのは、環境への配慮が必要になる関係で、ガス窯や電気窯よりはるかにコストがかさむようですが、シモーネ氏の薪窯へのこだわりによって、薪の香りが芳しいピッツァが提供されています。
さらに生地には、ナポリの老舗製粉会社である、カプート（CAPUTO）社の、サッコロッソ（Sacco Rosso、赤い袋）と小麦胚芽が含まれた全粒粉であるティーポ・ウノ（Tipo "1"）という２つの粉を独自にブレンドしたものが使われているそうです。
下にメニューをコピーさせていただきましたが、トマトソースベースのピッツァが18種類、モッツァレラベースのピッツァが16種類も提供されているというピッツェリアは私は知りません。そのためか、同業の方がよくいらっしゃっていて、カウンターでシモーネさんから教えを受けているような感じでした。
本格的なナポリピッザを妥当な価格で食べられるためお勧めです。特に、（肉、魚介類に加えて乳製品も避けている）ヴィーガンでも食べられるマリナーラは、トマトソースとニンニク、オルガノが載っていて他の店のマリナーラとは全然違っていて、価格も1,000円と一番安いため、特にお勧めで、私はほとんどの場合マリナーラを注文しています。また、ランチの場合、ピッツァを注文すると、まともな大きさのサラダとコーヒー（ナポリのKIMBO社製の粉を使用）も、追加料金なしに提供されるため大変お得です。
手前がヴィーガン対応の「マリナーラ」（1,000円）、向こう側がチチニエリ（Cicinnieli、トマトソース、シラス、ミニトマト、ニンニク、オルガノ、バジル、1,350円）。
トマトペースのビッツアのメニュー
モッツァレラベースのピッツァのメニュー
デザート、コーヒー、食後酒のメニュー
お店の外観は比較的質素で、料理で勝負しているという感じです。
店名：「ピッツェリア コール ア コール」 （Pizzeria Cor a Cor）
所在地：東京都杉並区浜田山4-11-6、
電話： 03-5913-9998
営業時間： 11:30 ～ LO 14:00、 18:00 ～ LO 20:30
テイクアウト： 11:40 ～ 14:00、 18:10 ～ 20:30
定休日： 火曜日（火曜日以外にもお休みとなる場合があるようですので、電話で確認されるか、Facebookのページに前月中に載る翌月の予定表で確認されてから出掛けられる方が確実です）
車を利用される場合には地図にも載っている「西友浜田山店」の駐車場（38台収容、30分200円、1000円以上の買い物で60分まで無料）がお勧めです。
（2023年4月26日）
